うちの境界標はとても古いものだけど、そういえばコンクリートの境界標を見たことがある。頑丈そうで、うちの境界標が正式なものか不安になってきた・・・。このようなことは私たち専門家へのご相談でもよくあるお話しです。
実は、境界標の種類には一般的にコンクリート杭、石杭、金属標、プラスチック杭、鋲、木杭、刻みの7種類があります。
地域の慣習によりその他の境界標がある場合もあります。
ちなみに、境界標の種類は何でもいいのでしょうか?いえ、そういうわけではなく、「永続性がある」境界標でなければなりません。
不動産登記規則77条第1項9号では「地積測量図には境界標(筆界点にある永続性のある石杭又は金属標その他これに類する標識をいう。以下同じ。)があるときは、当該境界標の表示」を記載するものとされています。
永続性のある境界標とは何なのか?境界標はどのように見ればいいのか?
土地の筆界の専門家である土地家屋調査士が「境界標の種類」を徹底解説します。
目次
1 境界標の種類
境界標には色々な種類があります。
コンクリート、プラスチック、石、金属、木等の素材の境界標があります。
十字、矢印、T字、-(マイナス)等の形の境界石があります。
実際の写真で説明していきます。
1-1 コンクリート杭
コンクリート杭には頭が下記のような十字、矢印、T字、―(マイナス)の形をしたものがあります。
コンクリート杭は長さが数十センチあり(長いものだと1メートルを超えるものもあります。)
土を掘ってコンクリート杭を設置してモルタルで固めるので簡単には動かないです。
ブロックを設置する前の状態で入れることが多く、造成された土地を購入された方の境界には埋設されていることが多いです。
それぞれの形について説明していきます。
十字のコンクリート杭コンクリート
十字になっている交点が境界点となる境界石です。
(十字コンクリート杭境界点)
十字のコンクリート杭は面取りのされているものと、面取りのされていないものがあります。
十字の場合は面取りがされていてもされていなくても中心が境界点になりますので解りやすいです。
矢印のコンクリート杭
(斜め矢印のコンクリート杭)
(真直ぐ矢印のコンクリート杭)
(面取りがされている矢印コンクリート杭の境界点)
(面取りがされていない矢印コンクリート杭の境界点)
矢印のコンクリート杭は面取りのされているものと、面取りのされていないものがあります。
矢印のコンクリート杭の境界点の位置は面取りの有無にかかわらず同じですが、面取りがされていると矢印の先が境界点と勘違いしやすいです。
T字のコンクリート杭
(T字コンクリートの境界点)
T字のコンクリート杭は面取りのされているものと、面取りのされていないものがあります。
T字の場合は面取りがされていてもされていなくても中心が境界点になりますので解りやすいです。
ここで十字のコンクリート杭とT字のコンクリート杭の違いについて説明します。
どちらも境界点の位置は境界標の中心となりますが、使用する場所が異なります。
特別にこれを使用しなければならないという決め事はありませんが、一目でわかりやすいので使用する場合もあります。
詳しく説明します。
十字のコンクリート杭とT字のコンクリート杭は上図の境界点AとBのような場合に使い分けます。
境界点Aは1-1、1-2、1-4の3つの土地に関係する境界点です。
ただし、1-2に関しては直線状の点になります。
このような場合には図のようにT字のコンクリート杭を設置します。
境界点Bは、1-1、1-4,1-5,1-6の4つの土地の関係する境界点です。
このような場合は十字のコンクリート杭を設置します。
-(マイナス)のコンクリート杭
―(マイナス)のコンクリートは方向杭と呼ばれています。
境界点を示す境界標ではなく境界方向を示す杭となります。
上図のように境界点Aと境界点Bに境界標を設置する場合において境界点Bは隣接地との境界立会いが済んでいて境界が確定している場合では上図のように十字のコンクリート杭を設置しますが境界点Aは道路境界が確定していない場合ではこの方向が境界線であることをしますマイナスの境界標を設置する場合もあります。
1-2 御影石(みかげいし)
御影石の境界は石の頭の中心部分の小さな丸のくぼみがあります。
その丸のくぼみが境界点となります。
御影石は大正~戦後まで多く使われていました。
現在では御影石を設置することはありません。
古い石なので地中の深い場所にあることもあり探すのが大変場合もあります。
下の写真は遠景と近景です。(地中に御影石が埋まっていました。)
(遠景)
(近景)
戦後まで使われていたこともあり下記のような御影石もまだ存在しています。
この御影石は1辺が15センチ以上ある石で石の横に「陸軍」の文字があります。
上部中心に打ち込まれている鋲は境界確定をしたときに後から打たれたものだと思います。
1-3 金属標
金属標は金属プレートも呼ばれ種類はコンクリート杭と同じで十字、T字、矢印、マイナス等があります。
すでにブロックなどの積んでありコンクリート杭を設置できない場合などに使用します。
境界標の見方もコンクリート杭と同じです。
コンクリート杭と同じく写真と図で説明します。
十字の金属標
十字の金属標は面取りのされているものと、面取りのされていないものがあります。
十字の場合は面取りがされていてもされていなくても中心が境界点になりますので解りやすいです。
矢印の金属標
(斜め矢印の金属標)
(真直ぐ矢印の金属標)
(面取りがされている矢印金属標の境界点)
(面取りがされていない矢印金属標の境界点)
矢印の金属標は面取りのされているものと、面取りのされていないものがあります。
矢印の金属標の境界点の位置は面取りの有無にかかわらず同じですが、面取りがされていると矢印の先が境界点と勘違いしやすいです。
T字の金属標
コンクリート杭の時には下記で説明しましたがこのようなT字もあります。
この場合も、二つの線が交わった箇所(交点)が境界点となります。
―(マイナス)の金属標
―(マイナス)の金属標は方向プレートと呼ばれています。
境界点を示す境界標ではなく境界方向を示すプレートとなります。
上図のように境界点Aと境界点Bに境界標を設置する場合において境界点Bは隣接地との境界立会いが済んでいて境界が確定している場合では上図のように十字の金属標を設置しますが境界点Aは道路境界が確定していない場合ではこの方向が境界線であることをしますマイナスの境界標を設置する場合もあります。
1-4 プラスチック杭
プラスチック杭、これも境界標となります。
上の写真のプラスチック杭は頭に何の印もないので境界点に写真のような小さな鋲を打って境界点を明示します。
頭に何の印もないプラスチック杭のほかにもコンクリート杭や金属標のように十字やT字、矢印等のプラスチック杭もあります。
境界標の見方はコンクリート杭や金属標と同じです。
プラスチック杭は境界標として設置することは少なく、木の根があって土が掘れなかったり何らかの障害がありコンクリート杭が設置できない場所等で使用します。
また、境界標を設置しても工事等で亡失してしまうような場所に仮に設置する場合もあります。
1-5 その他境界標
その他境界標として鋲や刻みなどがあります。
(鋲)
鋲はコンクリート杭や金属標等が設置できないような場所に設置します。
見方は十字のコンクリート杭や金属標と同じで中心(交点)が境界点となります。
(刻み)
刻み(きざみ)も境界の表示の一種です。
他の境界標が設置できない場合にコンクリートカッターなどを使用して写真のように十字の刻みを入れます。
2 永続性のある境界標とは?
永続性のある標識とはコンクリート杭、金属標、石杭、プラスチック杭、鋲などを言います。
1章で色々な境界標の種類と見方を説明しましたが、
境界標は何でもいいのでしょうか?
上記のように不動産登記規則では永続性のある標識とされています。
永続性ですから木杭のように腐ってなくなってしまうような標識ではダメだということです。
自分の家の境界標が、永続性のある標識かどうかを確認してみましょう。
3 まとめ
境界標の種類と見方について説明しました。
境界標と言っても色々な種類があります。
また、形によって境界点の見方も違ってきます。
皆様のご自宅には永続性のある標識はありますか?
・金属標
・石杭
・プラスチック杭
・鋲
一度、境界標を確認してみることをおススメいたします。
この記事が皆様の大切な土地を安心・安全な価値あるものにする一助となれば幸いです。
横浜市在住の半田と申します。
我が家の駐車場の近くに御影石の境界標が2つ有ります。駐車場が狭く
境界標が高い(10cm弱)為、車の出し入れの際、本体やタイヤバンパーを
傷める事が有ります。
境界標を低くしたり小さくする事は可能でしょうか?
・可否、可能な場合の手続き、依頼方法等を教えてください。
よろしくお願いします。
半田様
コメントありがとうございます。
土地家屋調査士法人えんの川本と申します。
境界標を低くしたり小さくする事は可能です。
事前に測量し、お隣様などその境界標に関係する方より承諾を得て
作業を行います。
御見積させていただきますので、弊社WEBサイトの
問い合わせフォームから、https://en-groups.com/contact/
半田様の住所などの情報を教えてください。
また、お手元に公図、地積測量図(その他、測量した図面)などの資料を
お持ちでしたら、PDF若しくは画像にて、info@en-groups.com
こちらのアドレスへ添付で送付いただけますでしょうか。
弊社、横浜事務所に持参いただくことも可能です。その場合は事前に
ご予約くださいませ。(予約電話はこちら 0120-107-579)
【横浜事務所】
住 所:〒222-0033神奈川県横浜市港北区新横浜二丁目14番26号 石川ビル502
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ZOOMでのお打ち合わせも可能です。
宜しくお願い致します。
担当:川本、脇谷(わきたに)