境界標が勝手に設置された!どうすればいいのか、専門家が徹底解説

知らない間に勝手に境界標が設置されていた。
どうしたらいいかわからない、不安でしょうがないと思われて検索されたのではないでしょうか?

境界標は財産界を示す大切なものです。
勝手に設置することは許されません。
許されませんが設置されているのも事実です。
百歩譲って設置されている位置が正しい位置であればいいのでしょうがそれもわかりません。
だからと言って勝手に取ってしまうことは刑法の「境界損壊罪」にあたり絶対にやってはいけません。

では、どうすればいいのでしょうか?
そのような不安を境界(筆界)の専門家である土地家屋調査士が解消できるように徹底解説します。

この記事を読み終わった時には境界を勝手に設置された場合に解決方法だけでなく安心・安全な不動産にする方法までわかります。

1 境界標は勝手に設置していいのか


境界標は勝手に設置してはいけません。

境界標は財産界を示す標識です。
皆さんも勝手に財産界を決められるのは嫌ですよね。

では、どのように境界を設置すればいいのか?
実は、境界標は設置する義務はありません。
民法223条にお隣の所有者と共同の費用で設置することができると記載があるだけです。

民法223条
土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。

このように境界標は自分で勝手に設置することはできませんが、お隣と共同なら設置することができます。

境界標がない場合は、見つからない理由に応じて対処していきます。
境界標が見つからない理由と対処法は下記の通りです。

見つからない理由 対処法
①最初から境界杭が設置されていなかった場合最初から境界杭がない場合は、「土地境界確定測量」(注・下記参照)を行い、この測量で確定した境界点に「境界杭」を新しく設置します。
②ブロック工事や水道工事等で抜けてしまった場合土地境界確定測量が済んでいる場合
境界点に座標値があれば土地家屋調査士に依頼をして復元します。

土地境界確定が済んでいない場合
土地境界確定測量を行い、測量が済んででから設置します。

③地中や構造物の下にあり見えない場合

地中や構造物の下にあり見えない場合には削岩機やスコップでブロック等の構造物斫ったり、穴を掘ったりして境界杭を探します。

 ① と②の場合に境界標を設置します。
境界標の設置は土地の境界確定が済んでいなければできません。
土地の境界確定は境界の専門家である土地家屋調査士に依頼してください。
境界確定は「土地の価値を高めるための境界確定のすすめ」を参照してください。

境界標の設置の流れは下記のようになります。

このように勝手に設置するのではなくお隣の所有者と境界を設置する箇所を確認してから設置します。

このような作業を「境界の復元」と言います。
自分の土地が境界の復元ができる土地なのかは「見えない境界を見える化する、境界復元とは何か?徹底解説!」を参照してください。

コラム


図のように土地を分ける分筆登記場合は、分割点A、B、Cのように分割の境界標を設置します。
このような場合は一般的には、分割点A、分割点Cは直線上の点になるためお隣の所有者の許可は不要です。
(もちろん法務局によっては例外もあり得ます。)

 

 2 境界標を勝手に設置された時の解決方法


境界標は勝手に設置してはいけないものですが、お隣の方に知らない間に設置されてしまうということもあり得ます。

このような場合は絶対に勝手に取らないで必ず土地家屋調査士に相談してください。

2-1 境界標を勝手に取っていいのか?

境界標は勝手に取ってはいけません。
境界標を勝手に取ってしまう行為は刑法で規定されている「境界損壊罪」にあたり5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられるます。

 

刑法第262条の2(境界損壊罪)
境界標を損壊し、移動し、若しくは除去し、又はその他の方法により、土地の境界を認識することができないようにした者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

勝手に設置されたから勝手に取る、間違っていないように思えますが犯罪です。
勝手に設置した方は罰せられないのに取った方は罰せられるのも変ですが、法律で決まっていることです。
絶対に取らないでください。

2-2 円満解決は土地家屋調査士に依頼しましょう。

境界標を勝手に設置された場合は必ず土地家屋調査士に相談してください。
土地家屋調査士は、「土地の筆界のプロ」です。
実際に設置された場所が正しい位置なのかを検証して、間違った位置に設置されたものならお隣の所有者の方にしっかり説明をして正しい位置に設置します。

 

コラム

建物を新築した場合に建築業者が検査を受ける際に一時的にブロックの上に境界標を設置してしまうことがあります。(本当はダメです。)
この一時的に設置した境界標を取り忘れてしまうこともあります。
境界確定が済んでいて正しい位置を出せる場合は大丈夫ですが、知らない間に一時的に設置された境界標をお互いに境界点と認めてしまう場合もあり得ます。

勝手に設置された場合は、お隣の所有者に文句を言うのではなく土地家屋調査士は境界確定されている土地であれば、その確定資料に基づき境界の正しい位置を出すことができます。

確定されていない土地であれば土地の境界確定測量を行うことにより正しい境界の位置を出すことができ、安心・安全な土地にすることができます。

境界問題はこじれると面倒なことになりますので専門家に任せましょう!

境界確定測量につきましては「確定測量とは?なぜ必要なのかについて土地家屋調査士が徹底解説」を参照してください。

3 まとめ

「境界標は勝手に設置していいのか」を説明してきました。

境界標は「財産界」を示す重要なものです。
当然、勝手に設置してはいけないです。

しかし、勝手に設置されてしまうケースはあり得ます。
このような場合、勝手に設置されたから勝手に取るという行為は絶対にしないでください。
刑法262条の2「境界損壊罪」は、「境界標を損壊し、移動し、若しくは除去し、又はその他の方法により、土地の境界を認識することができないようにした者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」とされています。

このような事にならないためには「境界の専門家」である土地家屋調査士に相談してください。
土地家屋調査士は公平公正な立場で設置された境界標の位置は正しいのかを検証し、間違っていればお隣の所有者としっかり話をし、円満解決に導きます。

境界標は財産界を見える化する大切なものです。
この記事が皆さんの大切な不動産を安心・安全な価値にすることができる一助になれば幸いです。

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