・お隣との境界の確認で境界標がずれていると言われた
・道路工事が終わったら境界の位置が変わっているように感じた
境界標の位置がずれているとどうなるんだろう・・・?
このように思われて検索されたのではないでしょうか?
境界標は、お隣との財産界を示す大切なものです。
ずれていたら大変なことになります。
ずれた位置でお隣の方がブロックを積んでしまい、そのまま長い年月が経過した場合、本来は自分の土地であった部分を時効によって取得されてしまう場合もあり得ます。
境界標がずれるにはいくつかの原因があります。
この記事では境界標がずれる原因を5つ紹介して、ずれた境界標の直し方を解説します。
この記事を読んでいただければ、境界標がずれた場合、どうすればいいのかがわかりますので是非最後まで読んでください。
1 境界標がずれる5つの原因
境界標がずれる原因には5つあります。
境界標がずれる5つの原因
①工事、道路の掘削によりずれてしまっている。
②境界塀の修繕によりずれてしまっている。
③地震・洪水の影響によりずれてしまっている
④間違った場所に設置されたことによりずれてしまっている。
⑤昔と今の測量方法の違いによりずれてしまっている
それぞれについて解説していきます。
①工事、道路の掘削によりずれてしまっている
ずれる原因の1つ目として工事や道路の掘削があります。
これは私道である道路において近隣の土地所有者で道路を持ち合っている場合においてお隣さんとの境界点が道路上になるときです。
このケースでは通常、道路のアスファルト上に打ち込んである金属製の鋲が境界標である場合、道路の舗装工事や地中の水道管の交換等で道路を掘削するときにずれることがあります。
この場合には、工事前に測量を行い、仮に境界標がずれたとしても同じ位置に復元できるように対策すると良いでしょう。
(道路上にある境界標)
②境界塀の修繕等によりずれてしまっている
ずれる原因の2つ目として境界塀の修繕や作り変えがあります。
これは、お隣との境界塀の上などに境界標があるときです。
このケースでは、お隣さんとの境界塀の修繕や作り変えを行ったときに境界標がずれることがあります。
また、古い塀の上に境界標が設置されている場合は経年により塀が傾いたりしてずれることがあります。
修繕や作り変えの場合は事前に境界標の位置をきちんと確認しておきましょう。
傾いた塀の場合は傾きを直すのは難しいことなので、将来、塀を作り変える際に改めて境界標を設置するのが良いでしょう。
(塀の上にある境界標)
③地震・洪水の影響によりずれてしまっている
ずれる原因の3つ目として地震や洪水があります。
これは、軟弱な地面に境界標があるときです。
このケースではお隣さんとの境界標が地質の柔らかい土地や田んぼや水辺に設置されている場合において、地震や洪水により全体の土が移動してしまったときに境界標も同じく移動してしまい、ずれることがあります。
近年では埋立地において液状化現象によってもずれることもあります。
この場合は、移動してしまった後だと移動前の場所は正確にわからないため、このような事態が発生する前に測量して正確な場所を図面に残しておきましょう。
(畑の中にある境界標)
地震や災害から土地を守るための方法を詳しく調べたい方は「大地震、土砂崩れ・・大災害からあなたの土地を守るために必要な対策とは【測量・記編】」をご参照ださい。
④違った場所に設置されたことによりずれてしまっている
ずれる原因の4つ目として間違った場所に設置されていることがあります。
これは元々の境界と違う場所に境界標があるときです。
このケースでは、元の境界の位置からずれていることになるのであなたの認識する境界と違うところに、境界標が設置されていることになります。
この場合だと、お隣さんの認識している境界に違いがある可能性が高いので、境界トラブルになることがあります。
この場合は、おそらくあなたの土地の測量をした際にわかったことだと思いますので、お隣さんと境界確認の立会いをして正しい位置に境界標を設置しましょう。
(新しく設置標)
境界トラブルについて詳しく調べたい方は、「境界線トラブルの要因と対処法-お隣さんと揉めないために-」をご参照ださい。
⑤昔と今の測量方法の違いによりずれてしまっている
ずれる原因の5つ目として、現代の測量とひと昔前の測量方法によりずれる場合があります。
これは境界標がずれているというよりも測量方法、精度の高さの違いにより異なる数値の結果が出るときです。
このケースでは、専門的な言葉でいう縄伸びや縄縮みといった場合です。
現代の測量では精度の高い数値が出ることに対して、ひと昔前は巻き尺を使用して距離を測っていました。
この測り方の違いにより数値がずれることがあります。
この場合は、現地の境界標がずれているとなった場合は、元の位置に境界標を復元し、境界標自体は動いていないという判断になった場合は、精度の高い正確な数値を記録しておきましょう。
2 ずれた境界標を直す2つの方法
ずれた境界標を直すには2つの方法があります。
①境界標復元
②境界確定測量
境界標がずれたことがわかった後に、あなたが境界標を正しい位置に戻したいと思ったとき、あなた自身が境界標を直すことは可能ですが、ずれた境界標を直すには元々の位置を特定することと、その境界標に接しているお隣さんの承諾が必要です。
そのためには正確な測量と正しい位置を説明する専門知識が必要になります。
このため、境界の専門家である土地家屋調査士に依頼して境界標を直すほうが良いです。
それぞれの方法について解説します。
①境界標復元
座標値が記載された図面がある場合において、境界点の座標値、基準点(測量の基準となる点)の座標値があれば、正確かつ容易に境界点の位置がわかりますので、お隣さんの承諾を得て、境界標を正しい位置に設置することができます。
座標が記載された図面とは、法務局に備え付けられた地積測量図や土地の境界確定測量を行った際の確定図等を言います。
(境界点の復元性がある地積測量図)
境界復元について詳しく調べたい方は「見えない境界を見える化する、境界標復元とは何か?徹底解説!」をご参照ください。
② 境界確定測量
図面が全くない場合や座標値がなく境界点の距離のみ書かれた図面である場合は、現地においては容易に境界点を特定できないため、境界の確定測量をしたうえで境界標を設置することになります。
(復元性がない地積測量図)
境界確定測量に詳しく調べたい方は、「確定測量とは?なぜ必要なのかについて土地家屋調査士が徹底解説」をご参照ください。
4 将来、境界標がずれた時のために今できること
今すぐできることしてはあなたの土地の境界標があるのかないのか現状を確認しておくことが大切です。
ただ、境界標がある場合でもその場でずれているのかいないのかの判断は難しいことなので、
・境界標(無い場合は周囲の)の写真を撮影して記録しておく。
・土地の図面または図面に類する絵があるか確認する。
・お隣さんや先代の土地所有者に境界線の認識について聞いておく。
などして状況を把握しておきましょう。
原因でも紹介しましたが、地震等の天災によってどうすることもできない理由で境界標がずれてしまう場合があります。
このために、復元性のある図面がない場合は、今のうちに土地の測量を行っておいて、法務局に登記して現地において復元可能な図面を残しておくことが大切です。
5 まとめ
境界標がずれる原因は5つあります。
①工事、道路の掘削によりずれてしまっている。
②境界塀の修繕によりずれてしまっている。
③地震・洪水の影響によりずれてしまっている
④間違った場所に設置されたことによりずれてしまっている。
⑤昔と今の測量方法の違いによりずれてしまっている
そして、直す方法は2つあります。
①境界復元
②境界確定測量
境界標がずれているとわかったときというのは、大概、お隣さんが測量を行っている場合です。
境界標が既にあるのにずれているとなったことでトラブルに発展したりします。
境界標がなぜずれているのか、ずれているとする根拠は何なのかという点を確認してずれている理由を理解して早期に解決することが大切です。
自分で考えずに境界の専門家である土地家屋調査士に相談しましょう。
この記事が、皆様の大切な土地を安心・安全な価値にする一助になれば幸いです。