地目が宅地以外!建物が建っているのになぜ?表題部の専門家が解説

・地目の宅地の定義って何なのか
・建物が建っているのに宅地以外の地目なのはどうして
・地目を宅地に変更するのはどうしたらいいのか

このように思われて検索されたのではないでしょうか?

地目は、不動産登記規則第99条で「地目は、土地の主な用途により、田、畑、宅地、学校用地、鉄道用地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園及び雑種地に区分して定めるものとする」と規定されています。

なかなかご自分の土地の登記簿記載の地目を確認する機会はないと思いますが、現状の地目と登記簿の地目が違うということはよくある事なんです。
あまり知られていませんが、地目が変更になった場合(例えば駐車場だった場所に建物を建てて住んでいる)は、地目の変更登記をする義務があります。

不動産登記法第37条で「地目又は地積について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その変更があった日から一月以内に、当該地目又は地積に関する変更の登記を申請しなければならない」と規定されています。

我々土地家屋調査士は、表題部に関する専門家なので宅地の定義は、当然に理解していますが、一般の方に宅地とは何なのか?どうすれば宅地に変更できるのか?は理解できないと思います。

この記事では、
・宅地の定義とは
・地目変更登記とは

の2章の構成でわかりやすく解説します。

最後まで読んでいただければ幸いです。

 

1 宅地の定義とは

宅地の定義は、不動産登記事務取扱手続準則第68号第3号で

「建物の敷地及びその維持若しくは効用を果すために必要な土地」

と規定されています。

では、建物の敷地とはどのような土地を言うのかですが、わかりやすいのは建物が既に建っている土地です。

そのほかには、下記の通達が出ています。

昭和56年8月28日 民三第5402号通達

対象土地を宅地に造成するための工事が既に完了している場合であっても、対象土地が現に建物の敷地(その維持若しくは効用を果たすために必要な土地を含む。)に供されているとき、又は近い将来それに供されることが確実に見込まれるときでなければ、宅地への地目の変更があったものとは認定しない。

わかりにくいかもしれませんが、下の写真のような造成地をイメージしてください。

このように造成工事は完了していても、この土地が近い将来に建物が建つことが確実でない土地は宅地として認定しないということです。

近い将来建物が建つことが確実な土地とはどういうことを言うのかですが、下記の通達が出ています。

昭和56年8月28日 民三第5403号通達

対象土地を宅地に造成するための工事が既に完了している場合であっても、対象土地が現に建物の敷地若しくはその維持・効用を果たすために必要な土地(以下「建物の敷地等」という。)に供されているとき、又は近い将来建物の敷地等に供されることが確実に見込まれるときでなければ、宅地への地目の変更があったものと認定すべきではない(通達二の1)が、対象土地を宅地に造成するための工事が完了している場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、対象土地が近い将来建物の敷地等に供されることが確実に見込まれるものと認定して差し支えない。

(1) 建物の基礎工事が完了しているとき。
(2) 対象土地を建物の敷地等とする建物の建築について建築基準法第6条第1項の規定による確認がされているとき。(建築確認申請)
(3) 対象土地を建物の敷地等とするための開発行為に関する都市計画法第29条の規定による都道府県知事の許可がされているとき。(開発行為の許可)
(4) 対象土地を建物の敷地等とする建物の建築について都市計画法第43条第1項の規定による都道府県知事の許可がされているとき。(市街化調整区域内の建築許可)

ここのポイントは4つです。

① 建物の基礎工事の完了
② 建築確認申請の確認済証の交付
③ 開発行為の許可
④ 市街化調整区域内の建築許可

この4つの場合は、宅地として認定されます。

地目は現況主義ですので、ここまで細かい規定がないと地目の認定が難しいです。
特に宅地の場合は、建物が既に建っていれば何の問題もありませんが、建築前の土地は認定が難しいです。

宅地かどうかの判断は、専門家の土地家屋調査士にご相談ください。

次章では、地目変更登記について解説します。

2 地目変更登記


上の画像は、土地の全部事項証明です。

赤枠で囲った部分が、地目の欄になります。
この土地は、平成20年6月16日に山林から宅地に地目変更されています。

地目変更登記は、申請義務のある登です。
地目変更登記の申請義務については、不動産登記法第37条で下記のように規定されています。

不動産登記法第37条

① 地目又は地積について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その変更があった日から一月以内に、当該地目又は地積に関する変更の登記を申請しなければならない。
② 地目又は地積について変更があった後に表題部所有者又は所有権の登記名義人となった者は、その者に係る表題部所有者についての更正の登記又は所有権の登記があった日から一月以内に、当該地目又は地積に関する変更の登記を申請しなければならない。

地目変更登記について詳しくお知りになりたい方は、「農地に住宅を建てた・・地目変更登記の申請義務があります」をご参照ください。
地目変更登記の費用について詳しくお知りになりたい方は、「土地地目変更登記の費用っていくらなの?土地家屋調査士が徹底解説」をご参照ください。

3 まとめ

土地の地目「宅地」について解説してきました。

宅地とは不動産登記事務取扱手続準則第68号第3号で「建物の敷地及びその維持若しくは効用を果すために必要な土地」と規定されています。

宅地は、多くの方にとって一番なじみのある地目だと思います。
しかし、宅地と認定するためには条件があります。

この記事では、宅地と認定できるためにはどのような条件があるのかをわかりやすく解説しました。

「宅地」に限らず土地の地目変更には認定できる条件があります。
土地家屋調査士は、表題部の登記の専門家です。

地目のことでわからないことがあったらお近くの土地家屋調査士に相談してみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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