【実例】筆界特定!お隣の所有者が行方不明のため境界確定ができない

自宅を売却するため、土地を兄弟で分けたいので分筆登記をするために土地境界確定を行わなければならないがお隣の方が行方不明で困っている。

このようなケースで土地境界確定が完結できないケースは少なくありません。

土地の売買では、以前(数十年前)は、登記簿の面積で土地の売買をする場合もありましたが、現在は土地の境界確定測量を行い、お隣と筆界(境界)確認書を取り交わすことが条件になっている場合がほとんどです。

境界が確定できない場合は下記のようなケースがあります。

① この記事のケースのようにお隣の方が行方不明の場合

② お隣と境界の認識が異なる場合

③ お隣から高額な立会い費用を要求される場合

②③のケースについて詳しくお知りになりたい方は下記をご参照ください。
【実例】筆界特定!お隣と境界の認識が違うため筆界特定を申請した
【実例】筆界特定!お隣から金銭を要求されて筆界特定を申請したケース

この記事では、実際に弊社が土地境界確定業を依頼され、お隣が行方不明で境界の確定ができなかった実例です。

ご依頼者は、当初は売却予定でしたが、境界未確定では売却金額が下がるとの事だったようで、時間と費用がかかっても土地をきちんとしたいとの事だったので筆界特定を申請することを提案し申請しました。

我々も多くの土地境界確定測量を行いますが、多くの方が同じような不安を感じられています。
記事を読んでいただくことでほとんどの不安は解消できると思います。

しかし、それでも不安でしょうがないという方は是非土地家屋調査士法人えんに相談してください。

お問い合わせフォームからお問い合わせください。
https://en-groups.com/contact/

 

1、【実例】筆界特定 背景

今回の実例は、
数年前に相続で取得したご実家の土地を売却するために弊社が土地境界確定測量の依頼を受けた実例で、隣接する道路(私道)の所有者が既に解散している法人名義の土地だったケースです。

上の図のように隣接地の土地の所有者との境界確認も終わり道路の所有との境界確認を行うだけの作業でしたが、道路の所有者が既に解散した法人名義の土地だったので清算人を追いかけることが必要になりました。

土地家屋調査士には、戸籍法第10条の2で「受託している事件又は事務に関する業務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付を請求できる」という規定があるので
職務上請求を使用して清算人を追いかけました。

戸籍法第10条の2
弁護士(弁護士法人を含む。次項において同じ。)、司法書士(司法書士法 人を含む。次項において同じ。)、土地家屋調査士(土地家屋調査士法 人を含む。次項において同じ。)、税理士(税理士法人を含む。次項において同じ。)、社会保険労務士(社会保険労務士法 人を含む。次項において同じ。)、弁理士(特許業務法人を含む。次項において同じ。)、海事代理士又は行政書士(行政書士法 人を含む。)は、受任している事件又は事務に関する業務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求をする者は、その有する資格、当該業務の種類、当該事件又は事務の依頼者の氏名又は名称及び当該依頼者についての第一項各号に定める事項を明らかにしてこれをしなければならない。

色々と追いかけましたが、清算人は全員死亡していることが判明しました。

測量地には法務局備え付けの地積測量図はありませんでしたが、両隣との境界確認も終了していること、道路の幅員も確保できていることを理由に法務局に土地地積更正登記ができないか相談をしましたが現状では難しいとの回答でした。

地積更正登記について詳しくお知りになりたい方は、「地積更正登記とは?正しい面積に修正して自分の土地を守る方法!」をご参照ください。

このままでは、境界確定が完結できないので依頼人に状況報告を行うと同時に「筆界特定」を申請することを提案しました。

ご依頼人は、売却することを望んでいたため仲介の不動産会社に相談してもらいましたが、売却金額が下がるとの回答だったので時間と費用はかかるが買主のためにも「筆界特定」を申請することとなりました。

コラム
土地家屋調査士を含む8士業に戸籍等の調査が行える権利(職務上請求)が与えられています。この権利は、他人の戸籍を調査できるということ非常に重い責任のある権利です。
この権利が土地家屋調査士に与えられていることを知っている方も多いので、簡単に隣の戸籍をとってもらえませんか?と言ってくる方もいます。
もちろんお断りをさせていただきます。

2、【実例】筆界特定 結果

筆界特定は、意見は聞くがその意見に左右されないで筆界を特定します。

今回は、道路の所有者は既に解散した法人で清算人も全員死亡しているため意見聴取等はできませんでしたが、少しでも早く筆界が特定されるように我々が広範囲に測量をして筆界特定を申請したため我々が特定した当初の筆界想定線で特定され、筆界特定書が通知された。

他の隣接地所有者とは筆界確認書を取り交わし、筆界確認書と今回通知された筆界特定書を添付して土地地積更正登記を行い境界確定業務は完了した。

期間:約1年
費用:280万円

時間も費用もかかったが、全ての境界が確定し、無事売却も完了した。

筆界特定書に関して詳しくお知りになりたい方は、「『筆界特定書』とは?筆界の専門家である土地家屋調査士が解説します」をご参照ください。

3、まとめ

ニュースを見ると「空家問題」のことが多く取り上げられています。

この記事の事例は、既に解散した法人が所有していた道路でしたが、一般の住宅でも今後多く発生してくることだと思いますので一つの解決策として記事にしました。

一昔前は、「遠い親戚より近くの他人」と言われていた時期もありましたが、今は隣に住んでいる人が何をやっている人かわからないという話もよく聞きます。

我々も土地の境界確定測量でお隣の方と接する機会も多いですが、どんどん難しい時代になっていると感じます。

必要に迫られて土地を売却しようと思い、土地境界確定を依頼したらお隣が承諾してくれないという場合もありえます。

我々土地家屋調査士法人えんでは、何か事が起こってからするのではなく、事前に自分たちの財産である土地を安心・安全なものにしておくために「予防測量」を提案しています。

ご自分の財産の中で最も高価なものが土地という方は多いと思います。
その土地を安心・安全な価値にすることをおすすめします。

予防測量について詳しくお知りになりたい方は、「【予防測量】皆さんの大切な土地を安心・安全な価値にするために」をご参照ください。

建物・土地の登記、測量についての
お悩み、ご相談など
お気軽にお問い合わせください

当事務所へのお問い合わせは、お電話またはWEBから承ります。
通常、フォームからのお問い合わせは2営業日以内にご返信させていただきますが、
お問い合わせ内容によっては回答に時間を頂戴する場合もございますので予めご了承くださいませ。

※土地に関するご相談は複雑なケースが多く、実際に状況(書類など)を確認しないことには
お答えが難しいので、お電話ではなくご面談にて回答させていただきます。予めご了承ください。

-お電話でのお問い合わせはこちら-
-WEBからのお問い合わせはこちら-
お問い合わせフォーム
【関東対応】不動産の悩み・問題を解決
年間1000件以上の相談を受ける土地家屋調査士

【関東対応】不動産の悩み・問題を解決
年間1000件以上の相談を受ける土地家屋調査士