【実例】筆界特定!お隣と境界の認識が違うため筆界特定を申請した

「お隣と境界の位置の認識が違う!」筆界特定制度で解決したい。

このように考えられて弊社にご相談に来られる方も少なくありません。

実際、お隣と境界の位置の認識が違うことはよくあります。

・父親から境界の位置はここだと聞いていた
・自分がブロックを積んだからブロックの外側だ
・人間関係が良くなく協力したくない

このような状況の場合
直近の地積測量図が法務局に備え付けられていれば測量結果を基に境界を特定することはできますが、過去に測量をしたことない土地や地積測量図は備え付けられていても年代が古い場合は境界を決めることが難しい場合も多いです。

相続をした土地で、兄弟で半分に分けたいが、境界が決まっていないので土地分筆登記を申請することができないことや、売却をしたいが境界が決まっていないので売却できないといったケースもあり得ます。

この記事で紹介している事例もお隣の方が境界に同意してくれなくて売却できず困ってしまい相談があった実例です。

結論としては、筆界特定を申請して境界が決まり無事売却できました。

この記事を読んでいられる方は、お隣が境界の位置に納得してくれなくて困っているという方も多いのではないでしょうか?

この事例のように筆界特定を申請して悩みから解放されてはいかがでしょうか?
気になる方は、是非相談にお越しください。

1、【実例】筆界特定 背景

(背景)

令和3年 東京都西多摩地区

ご主人が亡くなったため土地を売却するために土地の境界確定業務を依頼された。

この地区は昭和40年前後に土地区画整理が実施されており区画もしっかりしていた。
以前、一帯の土地は、同一所有者持っていたが昭和40年代後半に数筆に分筆されてそれぞれの土地に現在の所有者(相続をしている土地もある)が購入している。

この当時の地積測量図は法務局に備え付けられている。

測量に入り、資料に資料と照らし合わせて境界の特定ができたので、隣接地の所有者に境界の立会いを依頼したが、隣接地の一人が我々が示した境界と違う認識だった。

隣接地所有者の主張は下記のようだった。
現在は、ブロックが積まれているが、以前はブロックがなく木が植えてあり、その木が境界であると亡父親から聞いていた。

ご承諾いただけるように広範囲の測量を行い、境界特定の根拠を示したがご了承いただけなかった。

ご了承いただけない理由は、「お父様から聞いていた境界の位置とは違う」という理由のほか、今回の測量地の被相続人と以前から関係が悪いのも理由のようだった。

我々がどれだけ正確な測量をして境界を特定しても感情だけは動かすことができない。
境界に対してご承諾いただけない場合の理由として多い理由だと思う。

前述したように古いが法務局備え付けの地積測量図があるので法務局に出向き登記官に「地積更正登記」ができないか相談をした。

登記官の回答は測量地には、確かに地積測量図はあるが、昭和40年代と古く、地積測量図でに境界票の記載もなく現地とも相違する部分があるため既存の地積測量図は復元性に乏しいため地積更正登記は不可との回答だった。

このままでは、土地所有者のご依頼の土地境界確定が完結できないため所有者に筆界特定を提案し申請することになった。

 

 

(参考)
筆界特定制度について詳しくお知りになりたい方は、「境界線トラブルもこれで解決!筆界特定とは?筆特をわかりやすく解説」をご参照ください。

地積測量図の現地復元性について詳しくお知りになりたい方は、「地積測量図の見方がわかる、作成者である土地家屋調査士が解説」をご参照ください。

地積更正登記について詳しくお知りになりたい方は、「土地地積更正登記とは?正しい面積に修正して自分の土地を守る方法!」をご参照ください。

 

2、【実例】筆界特定 結果

(結果)

隣接地所有者は、筆界特定に対しは協力的で現地の立会い等にも参加してくれご自分の意見を話してくれた。
筆界特定は、意見は聞くがその意見に左右されないで筆界を特定するため我々が測量をして特定した当初の筆界想定線で特定され、筆界特定書が通知された。

他の隣接地所有者とは筆界確認書を取り交わし、筆界確認書と今回通知された筆界特定書を持って境界確定業務は完了した。

期間:約1年
費用:180万円

時間も費用もかかったが、全ての境界が確定し、無事売却も完了した。

筆界特定書に関して詳しくお知りになりたい方は、「『筆界特定書』とは?筆界の専門家である土地家屋調査士が解説します」をご参照ください。

3、まとめ

土地境界確定業務を依頼されほとんどの場合は何事もなく境界確定は完了します。

しかし、この記事のように境界の位置の認識の違いによりご了承いただけない方もいらっしゃいます。

資料等があり、測量結果をきちんと説明することにより解決する場合もありますが、人間関係の問題もあると難しいというのが現状です。

多くの場合、土地を売却する時や土地を分割する登記をする場合などに発覚して問題になります。

自分の土地は、大丈夫と思われている方も多いと思いますが、決して対岸の火事ではありません。

費用も時間もかかりますが、この記事のようなトラブルでお困りの方は、ご相談ください。

この記事が、皆様の大切な不動産を安心・安全な価値にする一助になれば幸いです。

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