・フェンスが古くなったので新しくしたい
・お隣との境界をわかりやすくするのにフェンスを設置したい
・お隣のフェンスが私の土地の中に設置されている
・フェンスが境界だと思っていたが違うと言われた
このような理由で検索されたのではないでしょうか?
その中でも、どんなフェンスにしようか?費用はどのくらいなのか?を知りたくて検索された方が多いと思います。
この記事は、フェンスの設置について解説した記事ではなく、もっと大切な問題である土地の境界線とフェンスの関係性について解説しています。
我々土地家屋調査士は、土地の境界確定を依頼されて業務として行う事が多いですが、境界とフェンスの問題は多く質問を受けます。
多くの方が、フェンスがある位置が境界線だと思われています。
確かに、きちんと境界確定を行い、その境界線に合わせてフェンスを設置していれば境界線となります。
しかし、お隣との話し合いでフェンスを設置されている方もいらっしゃいます。
我々、境界の専門家は、このような設置は絶対におすすめしません。
境界には、財産界の筆界と所有の境である所有権界があります。
お隣との話し合いでの設置は所有権界に設置していることになります。
本文でも解説しますが、所有権界にフェンスを設置して長年使用していた場合「時効」によって土地をお隣の人に取られてします可能性もあり得ます。
フェンスやブロックを設置する時にあまり境界を意識されていない方もいらしゃいますが、非常に危険なのでやめましょう。
最後まで読んでいただければ幸いです。
1 境界とフェンスの関係
フェンスの設置されているところが境界線とは限りません。
皆さんは、フェンスと設置したいと考えたときにどこに依頼するでしょうか?
多くの方が、エクステリア、外構工事屋さんと答えるのではないでしょうか?
確かにフェンスの工事は外構工事屋さんが行います。
しかし、外構工事屋さんは、境界の専門家ではありません。
境界杭があれば境界杭に合わせて設置しますが、境界杭がない場合は所有者の方に聞いて設置したり、元の構造物があればその位置に設置します。
これは、外構工事屋さんが悪いわけではなく、境界をきちんと確定しないでフェンスの設置を依頼した方が悪いのです。
ここで境界について解説します。
境界には、財産界である「筆界」とブロックやフェンスなどで囲まれた「所有権界」があります。
「筆界」=「所有権界」であれば何の問題はありませんが、違う場合も多々あります。
なぜ違うのかですが、考えられることはいくつかありますが、主な理由は2つあると思います。
① お隣との話し合いで設置してしまった。
② 元々は、植栽などで仕切られていたが、それに合わせて設置してしまった。
このような理由が考えられますが、「筆界」と「所有権界」が違うことによって問題も生じてきます。
下の図が、「筆界」と「所有権界」が異なる場合です。
本当の「筆界」は点CとDを結んだ線ですが、お隣との話し合いで自分の敷地(1-1)側にブロックを積んでしまった例です。
この場合、網掛けの部分は本来自分の土地(1-1の土地)ですが、お隣の1-6の所有者が使用しています。
このような場合、「時効取得」によって網掛け部分の土地を取られてしまう場合もあり得ます。
このように境界とフェンス(ブロック等)の関係は、大変重要な問題です。
次章では、境界確定について解説します。
境界とブロックについて詳しくお知りになりたい方は、「境界とブロックの関係性を専門家が徹底解説!」をご参照ください。
境界線について詳しくお知りになりたい方は、「境界線の意味本当に知っていますか?境界の専門家が徹底解説!」をご参照ください、
2 フェンスの設置の前に境界を確定すべき
フェンスの設置の前には境界確定をするべきです。
1章でも解説したように境界には、財産界である「筆界」とフェンスやブロックで囲まれた「所有権界」があり、「筆界」=「所有権界」であれば問題ないですが、異なる場合には「時効取得」によって土地が取られてしまう場合があります。
これを防ぐためにも、境界確定はするべきです。
境界確定とは、土地家屋調査士が現地を測量して様々な資料と照らし合わせ正しい位置を特定して、お隣の所有者と境界の確認をして境界を確定させる業務を言います。
境界確定の流れは、下図のとおりです。
土地境界確定は、費用もかかりますが、財産界をしっかり確定できるので誤った場所にフェンスやブロックを設置してしまうということはなくなります。
土地境界確定について詳しくお知りになりたい方は、「土地の価値を高めるための境界確定のすすめ」をご参照ください。
土地境界確定の費用について詳しくお知りになりたい方は、「境界線を測量する費用っていくらなの?土地家屋調査士が解説します」をご参照ください。
3 まとめ
境界とフェンスの関係性について解説してきました。
「境界 フェンス」と検索するとフェンス工事に関するサイトが多いです。
これは、当然の結果だと思います。
1章でも書きましたが、
皆さんは、フェンスと設置したいと考えたときにどこに依頼するでしょうか?
多くの方が、エクステリア、外構工事屋さんと答えるのではないでしょうか?
しかし、財産界である「筆界」の位置を知らないでフェンスやブロックを設置してしまうと土地を取られてしまうという事にもなり得ます。
フェンスやブロックを設置したいと考えたときは、最初に境界は確定しているのか?と考えてみてください。
皆さんの大切な不動産は安心・安全な価値にするためにも重要なことです。
最後までお読みいただきありがとうございました。