あなたが持っているのは本当に確定測量図ですか?
確定測量図というものはあなたが土地を売買したり、運用したりするのにかかせないものです。
「え?確定測量図ってなに?」「持ってないけどどうすればいいの?」と思っているあなた。安心してください。これから説明する手順をとっていただければ、確定測量図を取得することが出来ます。
以前、どこかの会社が作成した図面ならあるからという方も安心はできません。それは確定測量図ですか?
もしかしたら、現況しか記載されていない図面かもしれません。
これから土地を売買する上でも重要な確定測量図について解説をします。
ぜひあなたもチェックしてみてください。
目次
1 確定測量図とは
確定測量図とは何なのか、また確定測量図の目的、見方、他の図面との違いについて解説します。
1-1 確定測量図定義
確定測量図とは、境界が記載された図面の事です。
「境界(筆界)」とは登記された一筆の土地の外線で、他の土地に接する線のことをいいます。
境界はいわゆる、筆界とも言い「公法上の境界」ともよばれています。
(点が境界点、境界点を結んだ線が境界)
確定測量図があるということは、その土地が確定測量をし、境界(筆界)が確定されているということになります。
確定測量図を作成するには、調査・測量後に接する隣接地の所有者や道路・水路を所有する行政と現地で境界(筆界)を確認後、書類に署名捺印をする必要があります。
そうしてやっと確定測量図を作成することができるのです。
しかし、隣地との境界(筆界)に境界標が亡失していたり、隣地が見つからなかったりスムーズにいかない場合もあります。
「確定測量」をしなければ作成することのできない図面なので、作成には時間も費用もかかります。
(確定測量(=境界確定)についてはこちらの記事を参照してください)
⇒ 土地の価値を高めるための境界確定のすすめ
1-2 確定測量図目的
確定測量図の目的は、主に4つです。
1.土地の売買
2.保全
3.相続
4.建物建築
土地の取引や保全、建築等には確定した面積を算出する場合があります。そのためには、土地の境界(筆界)確定測量を実施して、境界(筆界)の範囲を明確にした確定測量図を作成し面積を確定する手続きを行います。
面積は土地の全部事項証明書(登記簿)にも記載されていますが、それはあくまで公簿上の面積であり、実際の面積との差異を確認し、取引面積を確認するためにも測量します。
都心の土地は1㎡が数百万円なんてところもありますから、きちんと測量することが重要です。
明治時代に明治政府が地租改正という租税制度改革をしました。その際に行われた土地の調査により、一筆一筆の土地の面積を測量し、面積を出しましたが、その際は、農地は農民自身が測量し自己申告したという記録が残っています。
このことからも実際の面積の方が大きい(地租を少なる少なくするため)「縄延び」などが起こっており、登記された地積は必ずしも正確ではありませんでした。
現在でも、その際に測量して作成した旧土地台帳の面積がそのまま公簿上の面積となり、課税されているところが多くあります。
(旧土地台帳)
(現在の全部事項証明書)
※9畝6歩=276坪=912.39㎡
(弊社が測量したところ、100㎡程公簿より広いことが分かりました。)
改めて測量することにより、あなたの土地の価値があがることもありますので、そのためにも測量することが大切です。
1-3 確定測量図の見方
実際の確定測量図を参考に見方をご説明します。
(確定図 見本)
図面に記載されてある内容ついて
①確定図
図面の名前です。
今回は確定図(=確定測量図)です。図面名は特にルールがなく実測図など色々な呼び方があります。
②縮尺
中央部にある図面の縮尺を記載してあります。広大な土地であれば、250分の1、500分の1など分かりやすい縮尺で作成されていっるものもあります。
③地番
本地の地番を記載します。複数ある場合は全てが記載されています。
④日付
現地を測量した年月日と図面の作成年月日を記載されています。
⑤作成者
作成者が記載してあります。図面によっては担当者が記載されているものもあります。
⑥方位
図面の方位です。
⑦地番
今回測量した土地・それの隣接地番の記載があります。
行政所有の道路や水路は地番が無い場合もあります。
⑧境界(筆界)
○で表現しているものは境界点を表します。
○と○を結んだものが境界線となります。
➈辺長
本地と隣地との境界(筆界)の辺長を記載します。
こちらは小数点第三位を切り捨てで記載しています。
➉求積表
座標より面積を求積しているものになります。
以前は測量技術が未熟の為、三斜法という方法で求積していましたが、現在は機械で境界点を測量し座標法という求積方法で求積をしています。
座標を記載することにより境界標が亡失・移動しても、復元が可能になっています。
⑪座標
例は任意座標系ですが、公共座標系の場合もあります。
⑫備考
境界標の種類が記載してあります。
1-4 確定測量図と他の図面との違い
確定測量図というのは前述したとおり、境界が記載された図面の事をいいます。
作成するには隣地と境界について確認後、署名捺印を書類にもらって作成することができますが、他の図面はどうでしょうか。
違いについてみていきましょう。
(*地積測量図は法務局に保管されていない場合もあります)
2 確定測量図作成の費用
確定測量図は確定測量の成果物になります。
そのため、確定測量をしなければ作成することができません。
確定測量にかかる費用は、最低でも40万円〜100万円程度となります。
一般的に金額が上乗せされる場合は、
・道路や水路などに接しており、行政との境界確定が必要である
・隣地の所有者の人数が多い、すでに亡くなっている、相続が発生している
・隣地とのトラブルがある(仲が悪い、境界に疑義がある等)
・資料がない、あっても現地と差異が大きい
・以前、隣地と境界を確認した書面が残っている
・建物が建っていたり、構造物がある
などがあります。
逆をかえせば、隣地の数・人数が少なかったり、更地であったり、行政の所有する土地に接していないと費用を抑えられることがあります。
確定測量図というのは、境界を確定しなければ作成することのできない図面ですので、隣地所有者の方次第で金額が変わってきてしまいます。
3 確定測量図作成の期間
確定測量図は確定測量の成果物になります。
そのため、確定測量をしなければ作成することができません。
確定測量にかかる期間は、最低でも2カ月から半年程度となります。
時間がかかる理由は5つあります。
・境界標がなく、かつ境界を示す資料がない
・道路や水路など行政が所有する土地に接しており、その境界が未確定の場合、境界確定を依頼して完了までに3カ月程度かかる
・隣接地の所有者の数が多い、人数が多い、相続が発生している、見つからない
・隣接地との境界の認識が違う(塀の内側か外側か)
・隣接地とトラブルがある
などがあります。
特に境界がはっきりしないまま、時間が過ぎるのはとても危険です。
空き家の所有者を特定したり、所有者が亡くなっていた場合その相続人の方を特定し、境界について納得いただき署名捺印をいただくのはとても困難です。
そうなると、時間と費用がかかるばかりでなく境界確定が出来ずに確定測量図を作成することが出来ないという事態にもなりかねません。
そういう事態もさけるために、早めに確定測量図を作成・準備しておくことが重要です。
4 確定測量図の業者の選び方
業者は土地家屋調査士を選びましょう。
なぜなら、境界を確定し、確定測量図を作成して、それを基に法務局に登記申請の代理できるのは土地家屋調査士のみだからです。
その中でもどこを選んだらいいのかは、悩ましいポイントだと思います。
金額が安いところ?近くのところ?
色々あるとは思いますが、選ぶポイントを6つご紹介します。
①相談や見積りの段階から親身になってくれるか
相談や見積の時に親身になってくれるところを選びましょう。初めてご相談される方が多いと思います。専門的な事も多いので疑問点はこの段階で解決しておきましょう。
②見積の内訳を説明できるか
なぜその金額になるのかということを説明できるということは重要な判断ポイントです。
③仕事内容の説明やリスクについて説明してくれるか
確定測量図を作成するにあたっての説明・手順など不明点を丁寧に説明してくれる業者を選びましょう。
④現場対応を土地家屋調査士がやってくれるのか
土地家屋調査士が自らが業務を行わなければなりません。
⑤世界測地系で対応してくれるか
法務局に提出する地積測量図は不動産登記規則第77条1項7号で世界測地系で提出するよう定められています。
⑥契約書(委・受託書、注文書)を発行してくれるか
契約書は約束事を書面にしています。
言った言わないの話にならないように契約書はしっかり取交しましょう。
参照記事 ⇒ 【土地家屋調査士が解説する】土地家屋調査士とは?
5 確定測量図に関するQ&A
確定測量図についてよくある質問をまとめてみました。
確定測量図とはいろんな呼ばれ方があります。
例えば、確定測量図の他に、境界確定図、確定図、実測図、測量実測図、測量確定図などがあります。
基本的には確定測量図の意味で使われますが、不安な方は専門家にご相談ください。
専門家が改めて測量して、図面を精査して、有効かどうかを判断致します。ですので、十年くらい前の図面でも有効な場合があります。
取引条件にもよりますが、測量にかかる手間が大分減りますので、費用・期間を抑えることができると思います。
どちらも信頼性の高い図面ですが、2つ原因が考えられます。
①当時に比べ現在の測量技術が進歩しているため。
②測量には誤差があるため。
①現在の測量技術は昔に比べ、非常に進歩しています。例えば通常の機械では測れない場所もドローンやGNSS、3Dスキャナ等で測量することができるようになりました。そのため、測量年月日が新しい図面の方の信頼性が高いです。
②測量にはどうしても誤差が生じてしまいます。それは目の誤差であったり、測量機械の誤差であったり様々な要因があります。
そのため不動産登記規則第10条第4項により公差が定められています。
(公差とは「許容される差」のことを言います。)
その範囲内であれば許される値の事です。
もし判断がつかない場合は専門家に相談してみましょう。
6 まとめ
いかがでしたでしょうか。
確定測量図についての重要性がご理解いただけたことと思います。
もし、土地の売買をお考えでない方も確定測量図を準備しておいて、損はないはずです。
隣地が空き家になってしまい所有者が見つからない・相続が発生して相続人が膨大な数になってしまった・隣地と不仲になってしまったなど、あの時、確定測量図を作成しておけばよかったと悔いを残さないためにも、ぜひ今一度、確定測量図のご準備をお考え下さい。