・現況測量図と地積測量図の違いは何なのか
・現況測量図とは何なのか
・地積測量図とは何なのか
このように思われて検索されたのではないでしょうか？
これらの図面は我々土地家屋調査士が測量をして作成する図面ですが全く異なる図面です。
詳細は、本文で解説しますが、大きな違いは
・現況測量図は、現況物（ブロック等の構造物）を測量して現況面積を算出した図面
・地積測量図は、境界を測量して土地の正確な面積を算出した図面
となります。
それぞれ使用目的も異なりますので本記事を読んでいただき必要な図面は何なのかをご確認ください。
我々土地家屋調査士は、土地家屋調査士法第１条で不動産の表示に関する登記及び土地の筆界を明らかにする業務の専門家と規定されており、「地積測量図」は我々の専門分野ですが、「現況測量図」も同じ測量であり当然に作成することができます。
どちらの図面が必要な時でも土地家屋調査士にご依頼いただければ作成可能です。
最後まで読んでいただければ幸いです。
1 現況測量図と地積測量図の違い
「現況測量図」と「地積測量図」は、同じ測量図ですが内容は全く違います。
「現況測量図」は、ブロックなどの構造物を測量して作成する図面で現況の面積や構造物の位置などがわかる図面です。
土地のおおよその面積が知りたい場合や建物を新築する場合などの土地の形状を知りたい場合などに測量し作成する図面です。
「地積測量図」は、法務局に備え付けられている図面で、土地分筆登記、土地地積更正登記等の申請に添付される図面です。
土地の境界の位置や距離、境界標の種類等が記載された図面で、自分の土地の財産界がわかる図面です。
「現況測量図」、「地積測量図」の詳細は２章、３章で詳しく解説していきます。
2 現況測量図とは
現況測量図とは現況の地物や構造物など目に見えるものを図面に反映させたものです。
用途によって記載されている内容は若干異なりますが、一般的な図面は上の図面のような図面です。
実際にはどのように作成されるのかを解説します。
上の写真のような場所を測量して「現況測量図」を作成すると下のような図面となります。
「現況測量図」は、上図面のように現況の構造物等を測量して図面化したものです。
この図面が、境界（筆界）の根拠となるものではありません。
土地家屋調査士として境界（筆界）の立会いを行う際に建物を建築した時の図面を持ってこられてこの図面が境界だと言われる方も少なくありません。
しかし、建築した時の図面は、「現況測量図」であることが多く、境界（筆界）を示した図面ではありませんので注意してください。
現況測量図の見方について詳しくお知りになりたい方は、「初心者でもわかる！現況測量図の見方を解説」をご参照ください。
現況測量について詳しくお知りになりたい方は、「【境界の専門家が解説】現況測量とは？土地の現況を知るための第一歩」をご参照ください。
現況測量図が欲しいと思われた方は、「現況測量なら土地家屋調査士法人えんが行う現況測量パック」をご参照ください。
3 地積測量図とは
「地積測量図」は、法務局に備え付けられている図面で土地分筆登記、土地地積更正登記等を申請する場合の添付図面となります。
「地積測量図」の記載事項は、不動産登記規則第７７条１項で定められています。
上の図面の赤字が記載事項となります。
不動産登記法第77条1項
地積測量図には、次に掲げる事項を記録しなければならない。一 地番区域の名称
二 方位
三 縮尺
四 地番（隣接地の地番を含む。）
五 地積及びその求積方法
六 筆界点間の距離
七 国土調査法施行令第二条第一項第一号に規定する平面直角座標系の番号又は記号
八 基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値
九 境界標（筆界点にある永続性のある石杭又は金属標その他これに類する標識をいう。以下同じ。）があるときは、当該境界標の表示
十 測量の年月日
法律ではこのように規定されていますが、よくわからないと思います。
では、「地積測量図」には何が記載されているのでしょうか？
簡単に言えば、自分の土地の境界（筆界）に関する情報が書いてあります。
土地の面積、境界の位置、境界標種類等の情報が記載されている図面です。
「地積測量図」は、法務局に備え付けられている図面ですが、すべての土地にあるわけではありません。
地積測量図は、土地分筆登記、土地地積更正登記、土地表題登記の申請に添付される図面ですのでこれらの登記を行ったことない土地や行ったことがあっても古い年代であれば地積測量図は備え付けられていません。
ご自分の土地の地積測量図が備え付けられているかを一度確認されることはおすすめします。
地積測量図（平成17年以降）が備え付けられている土地は境界（筆界）が明らかな土地ですので安心・安全な土地です。
地積測量図の見方について詳しくお知りになりたい方は、「地積測量図の見方がわかる、作成者である土地家屋調査士が徹底解説」をご参照ください。
地積測量図が備え付けられていないという方は、「地積測量図がない土地からある土地へ！土地家屋調査士が解説します」をご参照ください。
4 まとめ
「現況測量図」と「地積測量図」について解説してきました。
同じ「測量図」でも図面の意味は全く異なります。
「現況測量図」は、現況の構造物等を測量して図面化したもので、境界（筆界）の根拠となるものではありません。
現況測量図は、土地のおおまかな面積が知りたいときや、建物を新築する場合などで土地の状況を知りたい時に作成します。
「地積測量図」は、法務局に備え付けられている図面で、土地の境界や面積等が記載されている図面です。
我々土地家屋調査士も土地の境界確定測量を行う場合には必ず法務局で地積測量図を取得して参考にする図面ですのでご自分の土地に地積測量図がないという方は、登記を申請して法務局に備え付けておけば安心・安全な土地にすることができます。
この記事が、皆様の大切な土地を安心・安全な価値にする一助になれば幸いです。
