・土地以外財産らしい財産はないので、私が死んでも困らないようにしておきたい
・終活で測量をしておいた方がいいと聞いた
現在、終活で悩んでいる方は非常に多いのではないでしょうか?
実際、「終活」に関する書籍の出版や弁護士、司法書士、税理士による「終活セミナー」なども多く開催されています。
上記のように「終活」に関する書籍やセミナーは多いですが、多くの人にとって最も高価な財産である土地の境界について触れられているものは少ないです。
相続が発生して土地を売却するといった場合、土地の境界が確定していることが条件の場合がほとんどです。
また、兄弟で土地を分けようとする場合、土地分筆登記が必要となりますが、この登記を申請する場合も土地の境界が確定していることが条件となります。
相続税を支払うために土地を売却しなければならない場合などで相続後に土地の境界確定を行う場合、お隣が境界に承諾しなかった場合は、確定することができません。
また、兄弟で土地を分ける場合も境界が確定できないと分筆登記ができません。
我々土地家屋調査士は、土地境界確定測量を業としていますが、お隣が承諾してくれなくて境界が確定できなかったというケースは少なくありません。
もちろん、お隣が承諾してくれなくても境界を確定する方法はあります。
しかし、時間も費用もかかってしまい、相続した人が大きな負担を抱えることになります。
このような事がないように「終活」に測量を入れて下さい。
この記事では、「終活」に「測量」を入れる必要性を土地家屋調査士がわかりやすく解説しています。
最後までお読みいただき、お持ちの土地が価値(安心・安全)あるものする一助になれば幸いです。
1、終活で忘れがちなのは測量
「終活」で測量(土地境界確定測量)は、見落とされています。
「終活」に関する本やセミナーは相当数あります。
その中で説明されているほとんどが「身の回りの整理のこと」や「財産の整理」だと思います。
これらは、非常に大切な事ですし、やらないと相続人が困ってしまう事です。
しかし、これらの事に隠れていて見落とされているのが測量です。
測量といっても土地の境界を確定させる「土地境界確定測量」です。
この章では、なぜ土地境界確定測量が「終活」に必要なのかを解説していきます。
土地境界確定測量は、土地の境界を確定させる測量です。
「終活」でなぜ必要なのかですが、大きな理由は2つあります。
② 兄弟で土地を分ける場合に行う土地分筆登記は土地の境界が確定している必要がある
それぞれを詳しく解説します。
① 土地の売却には土地の境界が確定していることが条件
現在の土地の売却の場合、土地の境界が確定している事が条件の場合がほとんどです。
土地境界確定は、現地を測量し、測量結果を様々な資料と照らし合わせて境界を特定し、お隣の所有者の方に確認してもらい確定する業務です。
本来土地の境界線は、公法上の線と呼ばれ確定されているとされています。
しかし、この線は目には見えないため我々土地家屋調査士が測量結果を元に特定していきます。
我々土地家屋調査士は、土地家屋調査士法第1条で「土地の筆界を明らかにする業務の専門家」と位置付けられており、特定した境界(筆界)は正しい位置と考えますが、お隣の所有者と確認をしてご了承いただけなかった場合は、確定できないというのが現状の考え方となります。
このようにお隣が境界について承諾しない場合は、境界が確定できないこととなり、売買ができない場合もありえますので、「終活」の一部として測量をやっておくことが大切です。
下記の記事も参考となりますので是非お読み下さい。
境界線について詳しくお知りになりたい方は、「境界線とは?境界の専門家である土地家屋調査士が徹底解説!」をご参照ください。
土地境界確定について詳しくお知りになりたい方は、「土地の価値を高めるための境界確定のすすめ」をご参照ください。
「終活」のための測量について詳しくお知りになりたい方は、「【予防測量】皆さんの大切な土地を安心・安全な価値にするために!」をご参照ください。
②兄弟で土地を分ける場合に行う土地分筆登記は土地の境界が確定している必要がある
一つの土地を数個に分ける登記を土地分筆登記と言います。
この土地分筆登記をするためには土地の境界が確定している事が条件となります。
土地分筆登記も土地の境界が確定している事が条件となるためお隣が境界の承諾をしてくれなかった場合は、土地を分けることができませんので「終活」の一部として測量をやっておくことが大切です。
下記の記事も参考となりますので是非お読み下さい。
土地分筆登記について詳しくお知りになりたい方は、「分筆とは?安全確実な登記方法について土地家屋調査士が徹底解説!」をご参照ください。
相続した土地を売却するための確定測量・分筆登記について詳しくお知りになりたい方は、「相続した土地を売却するのに急ぎで実施すべきこと確定測量・分筆」をご参照ください。
2、未来に語り継ぐメッセージ
「終活」の一部として土地の境界を確定させておくことが重要だということを1章で解説しました。
2章では、思い出の相続をご提案します。
建物を新築するために既存の建物を取り壊す。
取り壊されている建物を見ていて涙するということは実際にあります。
この家で子供が産まれて育った、この庭にブランコがあってよく遊んでいた・・・
思い出のつまった家がなくなるのは非常に辛いことです。
相続が発生した後、売却されてしまうかもしれないが、自分たちが存在した証としてこの家の思い出を残していきたいという方も少なくないと思います。
「終活」は、財産を整理しておくだけでなく、思い出も整理すべきだと思います。
そのために現在の土地、家を測量することをオススメします。
測量と言っても、土地の境界を確定させるような測量ではなくドローンのを使って上空から土地全体を撮影する測量や3Dスキャナーを使用して自宅の中を撮影する測量です。
これをやっておくことにより、現在の家の形や土地の形状が明確になり、思い出として残すことができます。
実際のドローンから撮影した画像です。
現在は、子供は独立したら自分たちで家を購入して親とは住まない。
孫も同様。
このように家族の関係が気薄になっているのが現状です。
「終活」の一部として財産と一緒に思い出も整理してはいかがでしょうか?
3、まとめ
「終活」という言葉は、よく聞かれると思います。
お読みいただいている方の多くが、何らかの形で「終活」をされていると思います。
この記事では、「終活」の盲点となっている「測量」について解説してきました。
土地境界確定は、土地を相続された方が売却する場合や土地を兄弟で分けたいと言った場合にやらなくてはならないものです。
相続された方が困らないように「終活」の一部としてやられることをオススメします。
また、2章では「未来につなぐメーセージ」と題して、現在の土地の画像を思い出として子供や孫に引き継いでいく測量をご提案させていただきました。
私も相続の準備のための測量を行うことは多いのですが、その時に住み続けてきた土地や家がなくなってしまうことは寂しいという話をよく聞きます。
しかし、実際に相続が発生すると相続税の支払いや既に家を購入しているから住まないという理由で手放してしまう相続人が多いことは仕方ないことだと思います。
だからこそ、思い出を残すということは必要なのだと思います。
この記事を書いていて、小学校の卒業アルバムで空撮されているものがあることを思い出し見てみました。
とても懐かしかったです。
この記事が、皆さんの大切な不動産を安心・安全にする一助になれば幸いです。