・地積測量図が法務局に備え付けられていない
・どうすれば地積測量図ができるのか
・土地を売却するのに地積測量図がないから境界確定が必要だと言われた
このように思われて検索されたのではないでしょうか?
地積測量図は、法務局に備え付けられている図面の一つです。
ただし、すべての土地に備え付けられているわけではありません。
地積測量図が法務局に備え付けられるためには、土地の境界確定測量を行い、登記を申請しなければなりません。(すべての登記で地積測量図が備え付けられるわけではありません。)
地積測量図は、法務局に備え付けられていて、誰にでも取得することが可能な図面です。
言い換えれば公に公開されている図面となりますので、これ以上の境界を示す図面はないと言ってもいいのではないでしょうか?
この記事では、1章で地積測量図と確定測量の関係性、2章で地積測量図が備え付けられる登記の種類、そして3章で皆さんの土地を安心・安全な価値にするために我々がおすすめしている予防測量について解説しています。
最後まで読んでいただければ幸いです。
1 地積測量図と境界確定の関係性
地積測量図=確定測量×登記申請
地積測量図は境界確定を行い、登記申請して法務局に備え付けられます。
備え付けられるということは、すべての土地に地積測量図が備え付けられているという訳ではありません。
地積測量図が備え付けられる登記については2章で詳しく解説します。
この章では、登記申請の前段の確定測量について解説します。
確定測量について解説する前に地積測量図には何が記載されているのかを解説します。
地積測量図の記載内容につきましては、不動産登記規則第77条で規定されています。
地積測量図には、次に掲げる事項を記録しなければならない。
一 地番区域の名称
二 方位
三 縮尺
四 地番(隣接地の地番を含む。)
五 地積及びその求積方法
六 筆界点間の距離
七 国土調査法施行令第二条第一項第一号に規定する平面直角座標系の番号又は記号
八 基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値
九 境界標(筆界点にある永続性のある石杭又は金属標その他これに類する標識をいう。以下同じ。)があるときは、当該境界標の表示
十 測量の年月日
下の図面の赤字が記載事項となります。
地積測量図にはこのような内容を記載しますが、これらの内容を求めるための測量が確定測量となります。
地積測量図の見方について詳しくお知りになりたい方は、「地積測量図の見方がわかる、作成者である土地家屋調査士が徹底解説」をご参照ください。
では、確定測量とはどのような測量なのでしょうか?
確定測量は、土地境界確定測量のことで、土地の境界を確定する測量のことです。
土地の境界は2つの意味があります。
①お隣との財産界の筆界
②ブロックなどの囲まれた部分の所有権界
確定測量は、①お隣との財産界である筆界を確定させる測量となります。
「筆界」と「所有権界」について詳しくお知りになりたい方は、「筆界・境界の違いを解説!思わぬトラブルを防止・解決する方法」をご参照ください。
土地の筆界を「確定」させる測量を書きましたが、正式には「特定」させる測量です。
土地の筆界は、目には見えませんが既に決まっているというのが正しい考えです。
そして、この目に見えない筆界を特定していくのが確定測量です。
確定測量について詳しくお知りになりたい方は、「確定測量とは?なぜ必要なのかについて土地家屋調査士が徹底解説」をご参照ください。
2 地積測量図が備え付けられる登記
地積測量図は、法務局に備え付けられている図面です。
地積測量図が、備え付けられる登記は3つあります。
①土地分筆登記
②土地地積更正登記
③土地表題登記
それぞれについて解説します。
①土地分筆登記
土地分筆登記は、土地を分割する登記です。
上の図のように、相続などで兄弟で土地を分ける場合や土地の一部を売却するなどの場合に行う登記です。
この登記を申請する前提として確定測量が必要となります。
土地分筆登記について詳しくお知りになりたい方は、「分筆とは?安全確実な登記方法について土地家屋調査士が徹底解説!」をご参照ください。
②土地地積更正登記
土地地積更正登記は、登記されている面積を正しい面積にする登記です。
多くの方が、登記簿に記載されている面積が正しいと思われています。
直近で登記されている土地に関しては正しい面積が記載されていますが、過去に測量したことがない土地や地積測量図が法務局に備え付けられている土地であっても年代が古いものについては正しい面積だとは言えません。
この登記を申請する前提として確定測量が必要となります。
土地地積更正登記について詳しくお知りになりたい方は、「土地地積更正登記とは?正しい面積に修正して自分の土地を守る方法!」をご参照ください。
③土地表題登記
地番がない土地に地番を付す登記です。
「道」・「水路」などのように地番がない土地があります。
何らかの事情で、このような土地に地番を付す場合があります。
例えば、自分の土地の隣に公図上「道」があり、現在は自宅の一部として使用してしまっている場合などで、使用してしまっている部分を購入する時に表題登記を行います。
上は、土地の登記記録ですが、この登記記録を作成するためには土地に地番を付す必要があります。
この登記を申請する前提として確定測量が必要となります。
3 予防測量のすすめ
予防測量とは、必要に迫られてから測量を行うのではなく、自分の財産をしっかり保全する目的で事前に測量をしておこうというものです。
弊所土地家屋調査士法人えんが考えた言葉で、予防医療、予防歯科と同じように、売却・相続後に兄弟姉妹で分ける分割など必要に迫られてから測量を行うのではなく、何かあった時にすぐに動き出せるよう事前に測量をしておこうというものです。
この記事で、地積測量図と確定測量の関係性について解説してきましたが、地積測量図が法務局に備え付けられている安全性は理解できたと思います。
今までは、田舎を離れて都心で仕事に就き、そのまま田舎を捨てるということが多かったと思います。
しかし、新型コロナで世の中の流れは大きく変わりました。
多くの方が、親から引き継いだ土地を子供にそして孫に引き継いでいってほしいと思われているのではないでしょうか?
そう思われているのにお隣との財産界を明確にされていない方が非常に多いです。
大切な財産である土地を安心・安全な価値にするために「予防測量」をおススメします。
予防測量について詳しくお知りになりたい方は、「【予防測量】皆さんの大切な土地を安心・安全な価値にするために!」をご参照ください。
4 まとめ
地積測量図の方程式
地積測量図=確定測量×登記申請
地積測量図が、法務局に備え付けられるためには下記の登記申請が必要です。
①土地分筆登記
②土地地積更正登記
③土地表題登記
これらの登記を申請する前提として「土地境界確定測量」が必要となります。
登記は、申請してから1週間から2週間で完了しますが、前提の確定測量は大変時間のかかる測量となります。
この記事の3章でも書きましたが、土地の境界(筆界)は、お隣との財産界を示すとても重要なものです。
お子さんやお孫さんに思い出のつまった土地を渡しておきたいと考えているなら安心・安全な価値にすることが大事です。
土地境界確定測量を行い、登記申請をして法務局に地積測量図を備え付けておくことが、価値ある土地にするために必要だと考えます。
最後までお読みいただきありがとうございました。