地積測量図の見方がわからない、、、。
・土地を分ける土地分筆登記の成果として土地家屋調査士からもらった
・相続で権利証を探していて見つけた
という場面で地積測量図を手に取ってみたものの、初めて見た方にはよくわからないと思います。
地積測量図は、法務局に保管されている図面ですが、全ての土地にあるわけではなく土地を分ける分筆登記や土地の面積を正しくする土地地積更正登記が申請された時に法務局に保管される図面になります。
地積測量図は、不動産登記規則第77条で記載内容が決まっています。
土地の面積や境界点の位置を示す座標値などが記載されていますが、一般の方が見てもわかりにくい図面です。
この記事では、実際の地積測量図を使用して図解で記載内容をわかりやすく解説していきます。
お手持ちの地積測量図を近くにおいて読んでいただければ何が記載されているのかが理解できると思います。
目次
1 地積測量図の見方
地積測量図の記載事項は、不動産登記規則第77条1項に規定されています。
これから実際の地積測量図でわかりやすく解説していきます。
1-1 地積測量図の記載事項(不動産登記規則第77条)
実際の地積測量図です。
不動産登記規則第77条には地積測量図を作成する際の記載事項が規定されています。
赤字が記載事項となります。
地積測量図には、次に掲げる事項を記録しなければならない。
一 地番区域の名称
二 方位
三 縮尺
四 地番(隣接地の地番を含む。)
五 地積及びその求積方法
六 筆界点間の距離
七 国土調査法施行令第二条第一項第一号に規定する平面直角座標系の番号又は記号
八 基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値
九 境界標(筆界点にある永続性のある石杭又は金属標その他これに類する標識をいう。以下同じ。)があるときは、当該境界標の表示
十 測量の年月日
専門用語もあるので解説していきます。
地番区域の名称・・・土地の所在です。
例えば「立川市錦町二丁目」
地積及びその求積方法・・・土地の面積とその計算方法です。
求積方法は、昔は三斜求積法を使用していましたが、現在は座標求積法で求積します。
筆界点間の距離・・・境界(筆界)点と境界(筆界)点の長さ
平面直角座標系の番号又は記号・・・地球は曲面ですが、地球上の位置を示す際、狭い範囲であれば誤差も少ないことから、「平面」として計算した方が便利です。
平面直角座標系とは、平面として計算を行えるように定められた座標系であり、比較的狭い範囲を扱う場合に適しています。
平面直角座標系は、日本を19のゾーンに分割して横メルカトル図法で投影し、各ゾーンに座標原点を設けて、その原点を通る子午線をX軸、これに直交する方向をY軸としたものです。各座標系(1系~19系)の原点の値は、それぞれ、X=Y=0メートルとなります。
(空間情報クラブ:「座標系とは/座標系の種類・平面直角座標系について解説」から引用)
基本三角点等・・・基本三角点とは、測量法の規定による基本測量の成果である三角点及び電子基準点、国土調査法第十九条第二項の規定により認証され、 若しくは同条第五項の規定により指定された基準点又はこれらと同等以上の精度を有すると認められる基準点のことを指します。
(兵庫県公共嘱託登記土地家屋調査士協会ホームページから引用)
1-2 地積測量図が提出される登記
法務局に地積測量図が備え付けられる場合は次の3つです。
法務局に地積測量図が備え付けられる3つのケース
②土地地積更正登記が申請された場合
③土地表題登記が申請された場合
①土地分筆登記が申請された場合
土地を数個の土地に分割する登記を「土地分筆登記」と言います。
土地分筆登記を申請するには地積測量図を添付して申請し、登記完了後に法務局に地積測量図が備え付けられます。
分筆登記の詳細は「分筆とは?安全確実な登記方法について土地家屋調査士が徹底解説!」をご参照ください。
②土地地積更正登記が申請された場合
土地の面積が登記された時から間違っていた場合に正しい面積にする登記を「土地地積更正登記」と言います。
土地地積更正登記を申請するには地積測量図を添付して申請し、登記完了後に法務局に地積測量図が備え付けられます。
③土地表題登記が申請された場合
地番のない土地に地番を付す場合に登記を「土地表題登記」と言います。
土地表題登記を申請するには地積測量図を添付して申請し、登記完了後に法務局に地積測量図が備え付けられます。
1-3 年代別地積測量図の記載内容の違い
地積測量図は、年代別に記載内容が異なる項目があります。
一 地番区域の名称
二 方位
三 縮尺
四 地番(隣接地の地番を含む。)
五 地積及びその求積方法
六 筆界点間の距離
は、それぞれの年代の地積測量図にも記載されています。
しかし、境界標を復元するための項目である「八 基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値」や実際に境界標が設置されているのかを確認する項目「九 境界標(筆界点にある永続性のある石杭又は金属標その他これに類する標識をいう。以下同じ。)があるときは、当該境界標の表示」は年代によって記載されています。
年代別で一番大きな違いは現地復元ができるかどうかです。
境界の復元ができるかどうかを判断する方法として、 法務局に備え付けられている地積測量図の作成年を確認することが挙げられます。
作成年が、これからご説明する4つの期間のどの期間かで、 境界が復元しやすい・できないについて確認することができます。
①平成17年3月7日~の地積測量図は復元しやすい
平成17年3月7日〜の地積測量図があると、境界の復元がしやすいです。
なぜなら、座標を記載されているためです。(平成17年の法改正により、座標の記載が義務付けられました。)
この座標の表記によって、境界の復元がしやすく(現地復元性が高く)なりました。 ちなみに、この時点の地積測量図があったとしても境界の復元が100%できるわけではありません。お隣の承諾等の条件が必要です。
②平成5年10月~平成17年3月6日までの地積測量図はケースバイケース
平成5年10月~平成17年3月6日までの地積測量図の場合、復元できるかどうかはケースバイケースです。
なぜなら、平成5年の法改正で境界標の表記が義務付けられ境界標が表記されている一方で、座標の記載がなく正確性が欠けるためです。
③昭和52年10月~平成5年9月までの地積測量図の場合は復元が難しい
昭和52年10月~平成5年9月までの地積測量図は、復元が難しいです。
なぜなら、この時の地積測量図では境界標の表記が義務ではなく記載されていない図面が多いためです。
境界立会いを行っていないで作成されている図面も多く、現地復元には向かない図面だと言えます。
④昭和52年9月以前の地積測量図
昭和52年9月以前の地積測量図は、測量の精度も悪く、境界標の表記も必要とされていないため復元はできない図面です。
境界(筆界)確定の時に作成する「確定図」も、 上記の作成年を確認していただければ現地復元が可能か否かの判断ができると思います。 あなたの土地が境界の復元ができるか否かを判断するためには、 まず法務局の地積測量図をご確認ください。 もし②、③、④の期間に作成された地積測量図の場合は、 私たち専門家にご相談いただくことをおすすめいたします。
2 地積測量図に関するQ&A
業務を行っている中で地積測量図に関する質問を受けることも多いです。
Q&A形式で下記にまとめてみました。
参考にしてください。
面積は平方メートル、距離はメートルです。
3 まとめ
二 方位
三 縮尺
四 地番(隣接地の地番を含む。)
五 地積及びその求積方法
六 筆界点間の距離
七 国土調査法施行令第二条第一項第一号に規定する平面直角座標系の番号又は記号
八 基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値
九 境界標(筆界点にある永続性のある石杭又は金属標その他これに類する標識をいう。以下同じ。)があるときは、当該境界標の表示
十 測量の年月日
土地の所在や地番等の土地の情報のほか、現地の境界復元に関する情報が記載されています。
日本は地震が多い国で、大きな地震では自宅の一部が崩れてしまったり、埋まったりして境界がわからなくなってしまう場合もあり得ます。
このような場合に、「地積測量図」が法務局に備え付けられていれば安心です。
地積測量図が提出される登記は次の3つです。
①土地分筆登記
②土地地積更正登記
③土地表題登記
ご自身の土地が「地積測量図」はあるかを確認していただき、なければ土地家屋調査士に相談してみるもの良いと思います。
この記事が、皆さんの土地を安心・安全な価値にする一助になれば幸いです。