建築をする際や売買をする際に必要となる土地地目変更登記ですが、費用っていくらかかるのでしょうか。専門家へ依頼する場合は、一般的には1筆あたり5~6万円程度が相場となっていますが、はたしてすべての土地についてあてはまるのでしょうか。
金融機関や建築会社、不動産仲介会社より概ね数万円と言われたけど、本当にこれだけの金額で足りるのか地目変更登記の費用についてこのように感じている方も多いと思います。
地目変更登記を完了させるには、まず不動産登記関連法で定められている23種類の地目のことを把握したうえで、現地の状況がどのようになっているかを調査特定し、必要書類を揃え、管轄の法務局へ申請する必要があります。
地目変更登記は一般の方でも自分で法務局へ相談に行くなどして申請することは可能ですが、一定の時間がかかるため、少しでも時間を節約したい方や書類作成の作業が煩わしい方にとっては、専門家へ依頼することが一般的です。
地目変更すべき土地が農地になっている場合や、雑草などが生い茂り、どの地目にすればよいのかよく分からない場合、相続が発生しているケースなどイレギュラーなケースも良くあります。
イレギュラーなケースでの地目変更登記は登記簿の表題部の登記に関する唯一の専門家である、土地家屋調査士に依頼をするのが良いでしょう。
本記事では、土地家屋調査士がこれまでの経験を踏まえ、地目変更登記の費用について、事例も交えながら解説しますので、是非参考にしてみてください。
1 専門家へ依頼する場合の地目変更登記の費用
専門家へ依頼する場合の地目変更登記の費用相場は一般的には1筆あたり5万円前後です。
所有する土地が複数あり、地目変更する筆数が追加になる場合は、1筆あたり2~3万円加算になります。
1筆あたりの費用相場 | 筆数加算 | |
専門家へ依頼する場合 | 5~6万 | 2~3万 |
地目変更登記を依頼する専門家は土地家屋調査士です。農地や相続が発生しているケース、どの地目に変更したらよいのかよく分からないケースでは、土地家屋調査士へ依頼した方が良いでしょう。
土地家屋調査士へ依頼した方が良いと考えられるケースは、判断が難しい場合だけでなく、登記申請以外にも書類を収集したり協議したり、別途発生する作業があります。
これらの作業には相応の時間がかかるほか、法務局との協議などが発生する場合がありますので、専門家へ依頼したほうが良いでしょう。
ケース | 発生する作業 |
相続が発生している | 戸籍収集が必要 |
農地(田・畑)になっている | 農地法の届出又は許可が必要 |
どの地目にしたら良いか不明 | 法務局との協議が必要 |
複数土地がある | 土地の位置の判断が必要 |
宅地と畑など複数の種類で利用している | 不動産登記法の判断が必要 |
2 自分でやる場合の地目変更登記の費用
自分でやる場合の地目変更登記の費用は、実費のみです。土地地目変更登記には登録免許税などもかかりませんので、法務局での土地登記記録や公図、地積測量図などの取得実費がかかります。これらの費用は1筆の調査でしたら、1,500円程度です。
また、現地写真を法務局へ提供するのに、自宅であれば費用は掛かりませんが、離れた土地ですと現場まで行く電車代やガソリン代などがかかります。
申請書を紙で出力するインク代、紙代のほか、法務局へ相談や申請に行く場合にも交通費等をみておく必要があるでしょう。
(自分でやる場合の費用の一例)
内容 | 概算費用 |
登録免許税 | 0円 |
法務局での調査費用 | 1,500円 |
現地調査の交通費 | 0円~3,000円 |
申請書作成費 | 500円程度 |
相談~登記申請の交通費、郵送費 | 3,000円~6,000円 |
登記書類の訂正~法務局現地立会の交通費 | 3,000円~6,000円 |
登記完了書類回収の交通費 | 3,000円 |
また、これらの費用のほかに、法務局調査⇒法務局相談⇒現地調査⇒申請書作成⇒登記申請⇒登記書類の訂正⇒法務局現地立会⇒登記完了書類の回収までには、膨大な時間を要します。
(自分でやる場合の時間の一例)
内容 | 概算時間 |
法務局での調査(自宅~法務局) | 3時間 |
現地調査の交通費 | 0分(自宅)~1時間(自宅以外) |
申請書作成費 | 1時間 |
法務局相談~法務局へ登記申請 | 5時間 |
登記書類の訂正~法務局現地立会 | 4時間 |
法務局へ登記完了書類回収 | 3時間 |
合計時間数 | 17時間 |
順調にいってもこのくらいはかかる可能性があります。訂正や相談に何度も行くようですともっと時間がかかることになり時間を失ってしまいます。
書類作成などに慣れない方や時間を節約したい方は、専門家へ依頼する方が良いでしょう。
3 地目変更登記を専門家へ依頼する場合の依頼先を選ぶポイント
地目変更登記を依頼先として選ぶことができるのは土地家屋調査士のみです。
滅失登記の依頼先を選ぶポイントを解説します。土地家屋調査士へ地目変更登記を依頼する際は参考にしてください。
1.費用を明確で、見積書でしっかりと説明してくれる
土地の状況など、様々なケースがありますので、見積書や変動原因など金額の説明をしっかりと行ってくれる土地家屋調査士を選びましょう。
2.様々な事情について話を聞いてくれる
現在の土地の利用状況や登記完了時期など、じっくりと話を聞いてくれて、「困っていること」「希望の納期」などを聞き出してくれる土地家屋調査士を選びましょう。
3.わかりやすく、丁寧に説明をしてくれる
地目変更登記に必要な書類や、委任状の書き方などを丁寧に説明してもらえると安心ですよね。農地法のことや、どの地目にすればよいのかなど、今後のことにも目を向けて、「困っていること」「希望の納期」などを聞き出してくれる土地家屋調査士を選びましょう。
4.連絡がすぐに取れる
地目変更登記を申請した後も、途中で疑問や悩みなどが出た場合でもあると思います。登記の進捗なども気になりますよね。
連絡がすぐに取れて、必要に応じて連絡をくれる土地家屋調査士へ依頼すると安心です。
個人事務所ですと、測量現場に毎日出ていたり、事務所へ電話しても転送電話になっていたりすぐに進捗が確認できなかったり、連絡がつながらなければ不安になります。大手事務所(土地家屋調査士法人)の場合では、スタッフが常に事務所へ常駐しており、いつでも連絡が取れるので安心です。
4 まとめ
地目変更登記の費用は、土地家屋調査士へ依頼する場合で概ね5~6万円程度です。筆数によっては、1筆あたり別途2万~3万円程度費用がかかる場合があります。
自分で地目変更登記を行うことも出来ますが、ある程度時間がかかるほか、交通費や調査実費などがかかりますので、専門家へ依頼する場合と比較してみて検討してください。
地目変更登記の依頼先は土地家屋調査士です。
土地家屋調査士を選ぶポイントは
1.費用を明確で、見積書でしっかりと説明してくれる
2.様々な事情について話を聞いてくれる
3.わかりやすく、丁寧に説明をしてくれる
4.連絡がすぐに取れる
です。
時間を節約したい方は、安心安全な不動産にするため、実績などで安心できる大手事務所を選ぶことを検討事項にいれて、土地地目変更登記を実施しましょう。