合筆登記の必要書類には何がある?それぞれの特徴も解説

合筆登記には、土地の所有権を証明するための、さまざまな書類が必要です。
具体的にどのような書類が必要なのかを把握できれば、スムーズにと登記手続きが実行できます。

土地が複数ある場合、整理を行うことで管理が楽になる土地の合筆登記。
そのためにどのような書類が必要になるのか。

なかでも、特にややこしいのは権利証と登記識別情報です。

・権利証のどこをみたらよいのか
・いっぱいハンコが押されていて何がなんだか分からない
・権利証と登記識別情報の違いって何?

権利証が重要書類なのは分かっても、具体的にどこをみてどう判断したら良いのか分かりづらいですよね。

今回は合筆登記に必要な書類のチェックリストを作り、重要書類の解説に重点おき書類の特徴を解説していきます。

それでは、合筆登記の必要書類について確認していきましょう。

1 合筆登記の必要書類


まずは、合筆登記に必要な書類のチェックリストで全体像を確認しましょう。

その次に、各書類の収集方法や必要な理由、相続があった場合、専門家へ依頼した場合について解説していきます。

1-1 合筆登記に必要な書類チェックリスト

下記のチェックリストで手元にある書類などに不足がないか確認してみましょう。
必要書類(物)チェックリスト

*登記済権利証から登記識別情報通知への切り替わりは、不動産オンライン適用日からとなり、実際は平成17年~20年前後となっています。

申請を自分で行う場合は、これらに加えて、登記申請書を作成する必要があります。

1-2 各書類の収集方法、確認方法

各書類(物)の入手先や確認方法などの解説は以下の通りです。

【実印】・・・・・・ご自身で保有する印鑑のうちの1本を実印登録すると決め、お住まいの自治体で印鑑登録をしてください。印鑑登録が完了すれば、その印鑑が実印となります。大切に保管してください。

【印鑑証明書】・・・お住まいの自治体で発行されます。
マイナンバーカードで登録をすれば、コンビニエンスストアでも取得ができるようになります。
合筆登記は、権利に関する登記ですので、本人確認を厳重に行います。土地家屋調査士へ依頼する場合においても、3カ月以内の印鑑証明書が必ず必要です。
委任状などに実印を押印して、印鑑証明書とセットで本人であることの確認をおこないます。

【登記済権利証】
平成17年の不動産登記法改正前(オンライン庁指定前)に発行されるものです。
相続や、売買などの権利が移動した際に権利者へ発行されます。

合筆登記に必要な登記済権利証の確認方法

(昭和49年に発行された登記済権利証の表紙)

(所有権の取得原因と日付、権利者の氏名などを確認)

(所在、地番などの物件を確認する)

(昭和49年に発行された登記済権利証の重要な朱印の部分)

(現在の登記簿との照らし合わせで必要な受付年月日と受付番号の部分)

(現在の登記簿と照らし併せて確認する)

【登記識別情報】

登記識別情報は下記のように規定されていますが、非常に分かりずらいため現物をみてみましょう。

(実際の登記識別情報通知書)

登記済権利証と同様に、受付年月日・受付番号・物件の所在などで、特定します。

登記識別情報通知という名称の書類があり、法務局へは、下部のシールをはがして12桁のアルファベットと数字の登記識別情報を提供します。

コピーを取って提出しても構いません。

登記済権利証、登記識別情報と共に既存の権利証の確認に加えて、合筆登記が完了すると新規で登記識別情報が発行されます。

合筆登記は、これらのいわゆる重要書類である権利証を扱うことになります。

不動産重要書類の扱いに慣れていない方は、土地家屋調査士へ依頼することも検討しましょう。

【登記申請書】

合筆登記を行うためにまず必要な書類です。法務局HPに合筆登記の申請書の様式があります。
下記に書式と記載例が掲載してありますので確認してみてください。

法務省 不動産登記の申請書様式について

主に次の内容を記載することになります。

・登記の目的
・添付情報
・登記識別情報通知が提供できない場合の理由
・登記完了後に登記識別情報通知の発行を希望するか否か
・管轄法務局、出張所
・申請人の氏名・住所
・代理人の氏名・住所(代理人に依頼する場合)
・登録免許税額
・土地の所在・地番・地目・地積(合筆前・合筆後)
・登記原因

(合筆登記の申請書例)

【地形図】

合筆による土地の筆界変更を公示するため、変更される部分を地図(または公図)上で登記官に説明する資料です。
法定添付書面ではありませんが専門家が申請する際は作成します。
(合筆することにより、筆界が消えることを×印で法務局の地図・公図に示す)

1-3 相続が絡む場合に追加で必要な書類の収集方法

合筆登記は相続人全員からでも申請ができます。遺産分割の状況によっては、相続人からの合筆をしてその後分筆登記を経て相続登記するケースもあるでしょう。

合筆登記後は、被相続人名義での登記識別情報が発行されます。

土地の所有者が亡くなった場合には、現所有者との繋がりを証明する必要があり、それが相続証明書です。
相続証明書は、戸籍謄本や除籍謄本などで構成されます。

(相続証明書の入手先と注意点)

戸籍類は役所の窓口の申請書に必要事項を記載して30分~1時間程度でもらえますが、被相続人の出生から死亡まで調べるほか、その他の相続人も全て追いかける必要があり、1か所の役所では済まないケースもあるでしょう。

またコンビニのコピー機にマイナンバーカードをセットして取得する方法ですが、自分の戸籍などは登録手続きをして取得出来ますが、最初は登録に時間がかかります。一度登録できれば、どこのコンビニでも取得ができるようです。

相続が絡んだ、合筆登記は自分でトライすることもできますが、戸籍の収集などに慣れていない方にとっては、非常に煩雑でややこしい手続きになりますので、専門家へ依頼することも検討しましょう。

1-4 依頼する場合に追加で必要な書類は1種のみ

専門家に合筆登記を依頼する場合に必要となる書類は【委任状】です。
委任状には、実印を押印します。

次のような方は、土地家屋調査士へ相談することを検討しましょう。

・申請書などの作成方法が分からない
・土地の権利証の取り扱いに不安があり任せたい
・平日に時間が取れない

合筆登記についての詳しい解説は下記の記事も参考にしてみてください。

土地の権利証を紛失してお困りの方へ★合筆登記をして解決する方法★

合筆登記とは?あなたの土地の管理をラクにする方法

★コラム:住所氏名などに変更がある場合の合筆登記★

登記簿上の所有者の住所や氏名に変更があるけど、変更の登記をしていない場合が良くあります。このようなケースでは、事前に変更登記をしなければ合筆登記ができません。引っ越して住所が変わったケース、住居表示の実施により住所が変更されたケース、結婚により苗字が変わったケースなど様々ありますが、印鑑証明書が提出書類ですから、印鑑証明書のの住所氏名と登記簿の住所氏名が一致しなければ、直ちには同一人物であるとみなせないため、変更が必要なのです。(権利の登記は書面審査)
忘れがちなのが、法人が所有する場合の合筆登記のケースで、法人の本店所在地や商号が変更されているケースでも事前の土地の名義変更登記が必要になりますので、いずれも司法書士などの専門家へ依頼して修正してから合筆登記しましょう。

2 合筆したら、地積更正も検討しよう


合筆登記をして、管理しやすい土地の数にまとまったら、地積更正も検討しましょう。

これは、土地の管理の観点もありますが、保全や予防という観点からおすすめする手続きになります。

土地は重要な資産です。
金融資産ではなく、実物資産とも言われるくらいですから、実際に土地があります。しかし、実際にどの範囲を所有しているのか明確化されてない土地はたくさんあります。

お隣さんの所有者の顔が見えているうちに境界の確認を行い、その結果を地積測量図という不動産登記法で定められた図面にして、法務局へ提出し地積更正登記を行います。

これを行う効果としては、土地の筆界について国(法務省)のお墨付きが得られ、以後、地積測量図も国のサーバーにて座標値で管理されます。
さらに一歩踏み込むと、この座標を世界測地系の座標値で管理しておけば、いざ大災害がおきても復元ができるため安心です。

また、地積更正がされれば、最新の地積測量図が法務局へ提出されるため、いざ売買になった際にも評価が高まる傾向にありますし、売却する範囲が明確になっていますから買主さんも安心して購入することができます。

土地家屋調査士法人えんでは、これらの手法を『予防測量』と呼んでいて、合筆登記とセットで確定測量+地積更正を推奨しています。

是非、合筆登記を終えたら、確定測量+地積更正でさらに土地の管理を強化して安心・安全の土地にしていきましょう。

地積更正、予防測量についての詳しい記事は下記を参考にしてください。

土地地積更正登記とは?正しい面積に修正して自分の土地を守る方法!

地積更正登記のメリットとデメリットは何か?土地家屋調査士が解説!

【予防測量】皆さんの大切な土地を安心・安全な価値にするために!

3 まとめ


今回は「合筆登記の必要書類」について解説しました。
必要書類のチェックリストから入り、各書類の収集方法や確認ポイントを解説しました。

必要書類のチェックリストを再確認してください。

また、次のケースに該当する方は、土地家屋調査士等の専門家に相談・依頼した方が良いでしょう。

・申請書などの作成方法が分からない
・土地の権利証の取り扱いに不安があり任せたい
・平日に時間が取れない

 合筆登記は一見すると簡単なように見えますが、権利証などの提供があり、正確に権利証や登記識別情報を読み解き、現在の登記簿との照らし合わせを正確に行える必要があります。
 また、住所に変更がある場合などは、事前にその変更登記を入れなければなりません。これらが、合筆登記は権利に関する登記と言われる点です。

 本記事は、特に合筆登記に必要な書類の中でも、権利証や登記識別情報について詳しく画像付きで解説いたしました。

 そして、合筆登記をされたなら、土地家屋調査士としては、是非、地積更正(=予防測量)を推奨いたします。

 是非、今後の不動産管理の参考にしていただき、次世代に安心して引き継いで行ける安心・安全の不動産にしていきましょう。

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