・土地家屋調査士になりたい
・土地家屋調査士試験の攻略法を知りたい
・土地家屋調査士試験は独学で合格できるか
・土地家屋調査士を働きながら取得したい
このように思われて検索されたのではないでしょうか?
令和3年の土地家屋調査士試験は、受験者数 3,859名 合格者数 404名 合格率10.4%でした。
10人に一人が合格する感じですが、受験人数が少ないというのが曲者で、しっかり勉強している人が受験しているのです。
受験人数が多い資格試験は、とりあえず受けてみよう的な人も多いと思いますが、土地家屋調査士試験は結構本気で勉強している人が受けています。
その中で10%に入るのは結構大変です。
弊所土地家屋調査士法人えんでも毎年数名の人が受験しますが、合格者0の年もあります。
土地家屋調査士試験に合格するためには約1000時間の時間が必要だと言われています。
1日2時間勉強したとしても500日(1年5カ月)です。
社会人であれば当然仕事をやりながらとなります。
この記事では、1章ではほかのサイトでも記載されている一般的な土地家屋調査士試験に関する事を解説し、2章で実際の土地家屋調査士にインタビューを行い、どのような勉強方法で合格したのかを記載しています。
参考にしていただき、多くの方が合格していただければ幸いです。
1 土地家屋調査士試験とは
土地家屋調査士試験は、土地家屋調査士になるための試験です。
例年10月の第3日曜日に開催されます。
受験資格には制限はなく誰でも受験することができます。
詳細については次項で解説します。
1-1 土地家屋調査士試験概要
土地家屋調査士試験は、筆記試験と口述試験があり、口述試験は筆記試験に合格した人だけが受験できます。
試験内容
筆記試験は、午前の部と午後の部があり、内容は下記のとおりです。
内 容 | |
午前の部 | 土地及び家屋の調査及び測量に関する知識及び技能であって、次に掲げる事項 ア 土地家屋調査士法第3条第1項1号から第6号までに規定する業務を行うのに必要な測量 イ 作図(縮図及び伸図並びにこれに伴う地図の表現の変更に関する作業を含む。) |
午後の部 | ・民法に関する知識 ・登記の申請手続き(登記申請書の作成に関するものを含む。)及び審査請求の手続きに関する知識 ・筆界(不動産登記法(平成16年法律第123号)第123条第1号に規定する筆界をいう。)に関する知識 ・その他土地家屋調査士法第3条第1項第1号から第6号までに規定する業務を行うのに必要な知識及び能力 |
試験時間は、午前の部が2時間、午後の部が2時間30分です。
試験概要について詳しくお知りになりたい方は、「令和3年度土地家屋調査士試験受験案内書」をご参照ください。
1-2 土地家屋調査士試験Q&A
土地家屋調査士法人えんで働いている補助者や土地家屋調査士を目指している人に聞かれる質問をQ&A形式で解説します。
時間短縮のためにも独学はおすすめしません。
私も独学で合格したので、合格することは可能です。
しかし、経験上おすすめはしません。
現在の土地家屋調査士試験は、受験人数が4000人前後となっています。
個人的には、この受験人数の少なさがより難しくしていると考えています。
受験人数の多い資格は、勉強をしていない人も受けているので合格率はあまり正確ではないと思います。しかし、土地家屋調査士試験は受験人数が少なく受験者のほとんどがかなり勉強していますので、この中から頭一つ抜け出すのが大変です。
しかし、土地家屋調査士は試験に合格したから直ぐに業務はできませんので、この資格で一生やっていくと思われている方は、土地家屋調査士事務所で働くのはありだと思います。
弊所の補助者は、LEC東京リーガルマインドやアガルートアカデミーを受講している人もいます。
講師の好き嫌いもあると思いますので、説明会などに参加されてはいかがでしょうか?
2 土地家屋調査士が語る「合格体験記」
土地家屋調査士法人えんの土地家屋調査士が自身の合格体験を語ります。
皆さんの勉強の参考になれば幸いです。
土地家屋調査士 小山 章
平成14年合格
受験回数 7回
最初に申し上げますが、私の勉強方法はあまり参考にはならないと思います。
私は、受験予備校というところには行ったことがなく、完全独学で合格しました。
そのため、受験回数も7回と土地家屋調査士合格者の中でも多い受験回数だと思います。
勉強方法は、参考書、六法、過去問題集をひたすらやるです。
参考書は、東京法経学院の「合格ノート」を使用していました。
この参考書は、初心者でもわかりやすいように作られていますが、実際合格して土地家屋調査士として業務を行う時にも使うことができる良書だと思います。
私の勉強方法は、ものすごく単純です。
とにかく参考書を読む、そして条文については六法を確認する。
ひたすらこれの繰り返しです。
平成16年に不動産登記法の大改正があり、条文の条が変わりましたが、合格してから20年の今でも当時の条文の条が出て来たります。
非常に非効率な勉強方法でしたが、脳に刻み込まれているのでしょうか、忘れません。
書式の勉強方法ですが、これも過去問をひたすら解くです。
私は、当時片道1時間かけて通勤していましたので、電車では択一の勉強、そして自宅に戻ってからは、最低1日2問の書式の過去問をやっていました。
とにかく毎日やることによって作図のスピード、電卓をたたくスピードも確実に上がります。
予備校では、電卓のたたき方まで講義があるらしいですが、私は完全独学でした。
冒頭でも申し上げましたが、私の勉強方法はおススメできません。
しかし、家庭の都合や仕事の都合で受験予備校に通えない人もいると思います。
そういう方でも決してあきらめないでください。
努力は必ず報われる、私が証明しました。
それでもどうしたらいいかわからないという方は、土地家屋調査士法人えんの門を叩いてみてはいかがでしょうか?
多くの仲間が待っています。
土地家屋調査士法人えん「採用サイト」ご参照ください。
土地家屋調査士 川本 光範
平成22年合格
受験回数 2回
私は大学(商学部)を卒業後、司法書士・土地家屋調査士・行政書士の合同事務所にて勤務しながら補助者として土地家屋調査士試験に挑戦することにしました。平成21年の1回目の結果は0.5点足りず不合格。平成22年の2回目で合格することができました。当時通勤片道1時間半~2時間かけて千葉から都心へ通っていて、その移動時間を勉強時間に充てていました。私は自宅に小さな子供がいて集中して勉強できなかったので、図書館や移動中でやっていました。自宅のお風呂の中では公式集や間違いリストを暗記する時間にしていました。
当時の本試験は8月の後半です。1年目は10月頃からユーキャンという通信講座で勉強を開始し(安かったので)、概ね勉強が終わったころに、ちょっとどのくらいの実力か試したいと思い、翌年4月ごろから東京法経学院の答案練習会(答練)をとってみました。この答練を受けてみて、知らない知識や解法が得られたので、他の予備校もいいなと感じました。しかし1年目はそのまま、過去問と答練だけで本試験に突入しました。答練での順位はA,B,Cランクをいったり来たりという状態で、全てを理解しているとは言えないレベルでした。この状態で本試験を迎えましたが、土地の座標値が計算できない部分があり、ギリギリ0.5点足らず不合格。
2年目は、心機一転必ず合格するぞと誓い、仕事は変わらず続けながら、今度は東京法経学院の中上級コースを取り、ここでもう一度基礎からやり直しました。ここで出会った先生からは、過去問の重要性を学びました。直前期ではひたすら過去問を解いていました。
年明けから始まる科目別答練や書式などもほぼほぼ良い成績が取れるようになりましたが、もう少し時間短縮の方法は無いかと考え、同時にLECの複素数講座を受講してみました。この講座で得たものは、座標値の計算、辺長計算と求積を複素数モードで行うというものです。交点計算も出来るのですが、試験までの残日数を考えたときにそれまでの連立方程式モードを崩して、全てを複素数モードでの交点計算をする能力を身につけることとどちらが早くなるかを考えた結果、交点計算まではこれまでの連立方程式モードを採用し、複素数を利用するのは、座標値・辺長・求積までと判断して電卓2台体制で行くことにし、日々電卓をたたきました。
通勤が片道2時間ありますので、なるべく座るようにして各駅でも座る電車を選び、ひとたび座れば超集中で勉強マシン(合格マシン)に変身してひたすら択一の肢別過去問を繰り返し解くことと、その根拠として条文を引いていました。条文を引くとちょっと息抜きでそこからネットサーフィンならぬ、条文サーフィンがはじまったりもします。あれこれ、関連条文や気になった条文や前後の条文を気の向くままに素読します。あくまでも自分の興味に任せて気の向くままに素読します。サーフィンが終わると、また肢別に戻り、超集中モードで問題を解いては答えを確認、条文確認を繰り返します。書式も電車の中で行っていました。LECの答練を春頃から受け、ここで、論点にマーキングをするということを学び、登記事項、依頼の趣旨、依頼人など肝になる部分にマーキングをして書式を解くようにしました。また、見取り図など大切なものにもマーキングをフリーハンドでやっていきます。慣れると電車内でも書式が解けるようになっていました(作図はアバウトにフリーハンドで)。実際の書式練習は時間が取れるときに、図書館などで時間を測ってやっていました。
道具にもこだわり、三角定規は2セット購入し、ゴムで滑らないように加工、500分の1と250分の1を区別して素早く設置できるようにしました。電卓なども裏にゴムを貼って滑らないように工夫しました。ボールペン、シャーペンも色々試して、書き味のよいものを選びました。
テンションの維持という部分では、自分を『土地家屋調査士試験合格マシン』として考えて作業に集中させていました。とにかく一度スイッチを入れると、機械ですから延々と入力作業と出力の作業を続けます。暗記すべきものは知っているか知らないかと引き出せるか否かの単純な作業確認ですから、ひたすら作業を繰り返しました。脳に関する本なども読んだりして自分の脳が回転する特徴を研究したりもしました。私の場合は、とにかく移動時間、電車の中で肢別過去問、書式をひたすら解いていました。
書式は電車内で解く書式も含めて、毎日土地・普通建物・区分建物を各1問解いていました。作図もかなりやっていましたので、相当こなせば作図スピードはあがります。択一はひたすら全範囲の肢別過去問を解いて、いつも間違うものをブラッシュアップさせて、間違いノートを作成していきました。このノートは本試験当日会場へ持っていく用に、超直前期の暗記用間違いノートです。何度解いても間違わない問題は、完全に長期記憶にインプットされたと判断して飛ばしていきました。
本試験当日は、炎天下のなかでしたので、アイスノンなどを持参し、頭がぼーっとしないように工夫して、とにかく間違いノートをひたすら確認していました。東京大学が受験会場でしたが、デスクの幅が短く、若干斜めになっている教室だったので、非常にやりにくかったです。択一を確実に間違わないように45分かけて慎重に行いました。結果は18問正解でした。その次に建物に入りましたが、平成22年は合体でしたので、かなり時間をとられてしまい、土地に入った段階では残り45分でした。しかし、結果、建物書式はほぼ満点近くとれたと思います。土地は、見直している時間は無いと判断し、超集中で、電卓をたたきました。書式の勉強をしていた時にとにかく要点を確実にマーキングする手法で確実に依頼の内容を見極め、過去問の特徴からもとにかく依頼者の趣旨を確実に把握することに注意をし、依頼に無いことをやらないようにしました。座標変換などもあり計算量が多かったのですが、複素数モードでの計算効果もあり、座標値の計算から辺長、求積とギリギリでしたが全て計算できました。
全てを終え、手ごたえてとしては良い感触で、結果合格することができました。
振り返ってみると、自分を信じて、自分を合格マシンとして上手くだましながら、やるべきことやるテンションを保ったことがポイントかと思います。とにかくやれば受かる試験ですので、自分に自信を持って、時間は工夫して作り出していけば、勉強時間も確保できると思います。これからも、この土地家屋調査士試験で得た創意工夫を仕事にも生かしていけたらと思います。
3 まとめ
土地家屋調査士試験について解説してきました。
この記事を読んでいる方のほとんどが土地家屋調査士を目指している方だと思います。
土地家屋調査士試験は、難関資格と言われるだけあって非常に難しい試験です。
勉強時間も1000時間を要すると言われていて本気で勉強しないと合格できません。
私が合格した平成14年と比べると今の試験のレベルは確実に難しくなっています。
このように難しくなった試験に短期間で合格するためには受験予備校を利用することがいいと思います。
受験予備校は、当然に試験内容を分析して多くの合格者を出すためにやっています。
受講した方が圧倒的に有利だと思います。
そうは言っても、家庭の事情等で受験予備校に通えない方もいるでしょう。
そういう方は、合格できないのか?
合格できます。
ただ、苦労はすると思います。
気持ちも切れやすくなります。
独学で合格を目指す人は、受験仲間がいる土地家屋調査士事務所で働いてみるのもいいと思います。
土地家屋調査士法人えんで働いている補助者の多くも受験生です。
独学合格を目指している方、土地家屋調査士法人えんの門を叩いてみませんか?
土地家屋調査士法人えんに興味のある方は「採用サイト」をご参照ください。