建物の登記に関係するお仕事の方
・金融機関の方
・ハウスメーカーの方
・不動産会社の方
建物に関する登記は、司法書士さんにお願いすればいいと思われていませんか?
このように思われている方は非常に多いです。
建物に関するときは、「表示に関する登記」と「権利に関する登記」の2つに分類され、下記のように担当する士業が異なります。
「表示に関する登記」(=表題登記)は土地家屋調査士
「権利に関する登記」(=権利登記)は司法書士
このことを知らない方も多くいらっしゃいます。
土地家屋調査士法第3条1項では、「調査士は、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。」と規定され、やれる業務が決まっています。
おそらく司法書士もそうではないでしょうか?
言い換えれば、これ以外は業務としてやってはいけないということです。
世の中はコンプライアンス遵守というのが、常識になってきています。
今までの流れだからこうするという考えは通用しなくなってきています。
この記事では、建物の表示に関する登記とは何なのか?
土地家屋調査士への依頼の仕方等をわかりやすく解説しています。
最後まで読んでいただければ幸いです。
目次
1 建物の表示に関する登記は土地家屋調査士
建物の表示に関する登記の代理人は、土地家屋調査士です。
建物表示に関する登記で、主なものは下記の登記です。
①建物を新築した場合の建物表題登記
②建物を増築や減築(種類、屋根や構造変更含む)した場合の建物表題部変更登記
③建物を取り壊した場合の建物滅失登記
建物の表示に関する登記の代理を業として行えるのは「土地家屋調査士」です。
建物の登記に関係するお仕事の方
・金融機関の方
・ハウスメーカーの方
・不動産会社の方
これらの方でも理解されていない方もいらっしゃいます。
建物を新築した場合の登記の流れは(一般的な流れ)
①建物表題登記→②所有権保存登記→③抵当権設定登記となります。
この流れで①は土地家屋調査士、②③は司法書士の業務となります。
現在では新築する場合のほとんどが融資を受けてだと思います。
このような場合、金融機関などは抵当権設定で司法書士に業務を依頼するので一連で司法書士に業務を頼んでしまいたくなると思います。
しかし、土地家屋調査士と司法書士は不動産の登記でやれる業務が明確に分かれています。
事項で土地家屋調査士と司法書士の違い(不動産登記について)を解説します。
建物表題登記について詳しくお知りになりたい方は、「表題登記とは?新築建物表題登記について土地家屋調査士が徹底解説!」をご参照ください。
増築による建物表題部変更登記について詳しくお知りになりたい方は、「増築したら必ず登記をやる!やるべき理由を土地家屋調査士が解説」をご参照ください。
種類変更による建物表題部変更登記について詳しくお知りになりたい方は、「建物種類変更登記が必要になるケースとは、実例4選」をご参照ください。
建物滅失登記について詳しくお知りになりたい方は、「建物滅失登記とは?大切なポイントを土地家屋調査士が解説します。」をご参照ください。
1-1 土地家屋調査士と司法書士の違い(不動産登記について)
不動産の登記で土地家屋調査士と司法書士の違いは下記のとおりです。
土地家屋調査士・・・表示に関する登記
司法書士 ・・・権利に関する登記
上は、建物の全部事項証明書ですが赤線で囲った部分が表題部、青線で囲った部分を権利部と言います。
赤線で囲った表題部が土地家屋調査士の業務、青線で囲った権利部が司法書士の業務です。
1-2 コンプライアンス遵守
土地家屋調査士の倫理規定は厳しいです。
私は土地家屋調査士なので土地家屋調査士についてしか解説できませんが、司法書士も同じように厳しいと思います。
土地家屋調査士は、土地家屋調査士法第3条に規定された業務以外はできません。
調査士は、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
①不動産の表示に関する登記について必要な土地又は家屋に関する調査又は測量
②不動産の表示に関する登記の申請手続又はこれに関する審査請求の手続についての代理
③不動産の表示に関する登記の申請手続又はこれに関する審査請求の手続について法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第五号において同じ。)の作成
④筆界特定の手続(不動産登記法第六章第二節の規定による筆界特定の手続又は筆界特定の申請の却下に関する審査請求の手続をいう。次号において同じ。)についての代理
⑤筆界特定の手続について法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録の作成
⑥前各号に掲げる事務についての相談
⑦土地の筆界が現地において明らかでないことを原因とする民事に関する紛争に係る民間紛争解決手続(民間事業者が、紛争の当事者が和解をすることができる民事上の紛争について、紛争の当事者双方からの依頼を受け、当該紛争の当事者との間の契約に基づき、和解の仲介を行う裁判外紛争解決手続(訴訟手続によらずに民事上の紛争の解決をしようとする紛争の当事者のため、公正な第三者が関与して、その解決を図る手続をいう。)をいう。)であって当該紛争の解決の業務を公正かつ適確に行うことができると認められる団体として法務大臣が指定するものが行うものについての代理
⑧前号に掲げる事務についての相談
コラム
建物の表題登記を依頼されて、「所有権の保存登記」も一緒に頼まれる場合もあります。
このような場合、お客様目線で考えると一緒に委任状を受領したり、本人確認もやった方がいいのでしょうが、これをやると我々は懲戒の対象となってしまいます。
逆も全く同じです。
多くの企業でコンプライアンス遵守が重視されています。
この記事を書いている2022年5月も知床のKAZU1の沈没が騒がれています。
この事故も船の点検や出航の可否で防げた事故だと言われています。
建物の登記にも表題部、権利部で担当士業が異なります。
問題が生じる前にそれぞれの専門士業に依頼してください。
2 土地家屋調査士への依頼の仕方(土地家屋調査士法人えんの場合)
建物の表示に関する業務の依頼は土地家屋調査士です。
他事務所の対応はわかりませんが、土地家屋調査士法人えんの場合の流れは下記のとなっています。
立川事務所:042-512-9912
横浜事務所:045-534-7909
メールアドレス :info@en-groups.com
電話相談は、平日9:00~18:00
メール相談は、24時間付ただし返信は平日9:00~18:00)
こちらのお問い合わせフォームからも相談可能です。
3 まとめ
表示に関する登記は土地家屋調査士にご依頼ください、という内容で解説してきました。
現在は、コンプライアンス遵守というのが一般的となっています。
我々土地家屋調査士の業界も倫理が非常に厳しく、これを遵守しなければ懲戒対象になります。
ある意味、「独占的業務」をやっているわけですから当然のことだと思います。
人の命にかかわるような業務ではありませんが、大変高価な不動産を扱う業務ですので、倫理的に正しいことを行う必要があります。
不動産の登記には「表題部」「権利部」の登記があり、「表題部」は土地家屋調査士、「権利部」は司法書士の業務となります。
ここの線引きがわかりにくいかもしれませんが、この記事を読んでいただき、依頼する側も各専門家に依頼していただき、安全な登記ができればいいのではないでしょうか?
この記事が、皆様の不動産を安心・安全な価値にする一助になれば幸いです。