弊社に相談にくる土地の境界については5割以上が境界トラブルです。
残り5割弱は境界確定業務や相続に伴う土地の分筆登記等です。
境界トラブルの多くは、何らかの理由で境界が決まらないというものです。
我々土地家屋調査士は、土地家屋調査士法第1条で「土地の筆界を明らかにする業務の専門家」とされていますが、実務上ではお隣の確認が必要とされていますので勝手に決めるわけにはいきません。
このような場合に「筆界特定制度」を利用します。
「筆界特定制度」とは、不明な境界(筆界)やお隣とトラブルになっている境界(筆界)を行政の制度(筆界特定制度)により特定するものです。
筆界特定制度について詳しくお知りになりたい方は、「境界線トラブルもこれで解決!筆界特定とは?筆特をわかりやすく解説」をご参照ください。
【実例】筆界特定!では、実際に弊社で行った実例をご紹介してどのように解決したのかを「背景」と「結果」という形でわかりやすく解説します。
この記事にたどり着いた境界トラブルで悩んでいる方の解決の手助けになれば幸いです。
1、【実例】筆界特定 背景
(背景)
お隣に土地の境界の確認をお願いしたら金銭を要求されたケース
平成31年 神奈川県川崎市
売却のために土地の境界確定業務と地積更正登記を依頼された。
測量に入り、資料と照らし合わせて境界の特定ができたので、隣接地の所有者に境界の立会いを依頼したが、隣接地の一人から多額の(数百万円)立会い料を要求された。
測量地には、法務局備え付けの地積測量図はあるが、昭和50年台の地積測量図で現地とも相違する部分が多く、境界標も現存しなかったため、法務局に相談をしたが、既存の地積測量図は復元性に乏しく地積更正登記は不可との回答だった。
このままでは、土地所有者のご依頼の土地境界の確定と土地地積更正登記が完結できないため所有者と相談をして筆界特定を提案した。
所有者も金銭を支払うことは、その他の隣接所有者にも同じことが起こってしまうことを懸念して筆界特定を申請することになった。
(参考)
筆界特定制度について詳しくお知りになりたい方は、「境界線トラブルもこれで解決!筆界特定とは?筆特をわかりやすく解説」をご参照ください。
地積測量図の現地復元性について詳しくお知りになりたい方は、「地積測量図の見方がわかる、作成者である土地家屋調査士が解説」をご参照ください。
地積更正登記について詳しくお知りになりたい方は、「土地地積更正登記とは?正しい面積に修正して自分の土地を守る方法!」をご参照ください。
2、【実例】筆界特定 結果
(結果)
金銭を要求してきた所有者は、指定された立会い、意見聴取会にも現れず、公示期間が経過したため、当初の筆界想定線で特定され、筆界特定書が通知された。
土地地積更正登記も他の隣接地所有者と取り交わした筆界確認書と今回通知された筆界特定書を添付して無事完了した。
期間:約1年
費用:200万円超
時間も費用もかかったが、全ての境界が確定し、無事売却も完了した。
筆界特定書に関して詳しくお知りになりたい方は、「『筆界特定書』とは?筆界の専門家である土地家屋調査士が解説します」をご参照ください。
3、まとめ
境界トラブルは、実際よくあります。
自分の土地は、大丈夫と思われている方も多いと思いますが、決して対岸の火事ではありません。
この記事のように金銭を要求する方も実際にいます。
弊社では、泣き寝入りはしないで、筆界特定制度を利用することをおすすめします。
費用も時間もかかりますが、この記事のようなトラブルでお困りの方は、ご相談ください。
この記事が、皆様の大切な不動産を安心・安全な価値にする一助になれば幸いです。