【実例】筆界特定!相続前に揉め事を解消するため筆界特定を申請した

お隣と境界について揉め事があるので、子供に相続させる前に解決しておきたい。

この記事は、隣接地と境界について揉めていた土地で、夫が数年前に亡くなり所有者も80歳を超えたことから子供へ相続させることを考えて境界をはっきりさせておきたいという相談があり「筆界特定制度」を申請した実例です。

実際、お隣と境界の位置の認識が違い揉めているということはあります。
境界の認識が違う理由はいくつかありますが例えば

・購入した時に聞いた境界の位置との相違
・父親から境界の位置はここだと聞いていた位置との相違
・自分がブロックを積んだからブロックの外側だという思い込み
・人間関係が良くなく協力したくない

このような状況の場合
直近の地積測量図が法務局に備え付けられていれば測量結果を基に境界を特定することはできますが、過去に測量をしたことない土地や地積測量図は備え付けられていても年代が古い場合は境界を決めることが難しい場合も多いです。

境界が決まらないと相続をした土地で、兄弟で半分に分けたいが土地分筆登記を申請することができないことや、売却をしたいが売却できないといったケースもあり得ます。
この記事で紹介している事例は、お隣と境界の認識が異なる上、勝手にブロック塀を建てられたという事例です。子供が相続する前に解決しておきたいと相談があり筆界特定を申請しました。
結論としては、筆界特定を申請して境界が特定されました。

この記事を読んでいられる方は、お隣との境界について揉めていて困っているという方も多いのではないでしょうか?

この事例のように筆界特定を申請して悩みから解放されてはいかがでしょうか?
気になる方は、是非相談にお越しください。

1、【実例】筆界特定 背景

(背景)

平成28年 東京都23区内

土地家屋調査士法人えんホームページ経由で境界に関する相談をしたいと電話があり後日事務所にて相談を受けた。

相談内容は、お隣の所有者と境界について揉めているということ。
ご主人も既に他界していて、相談者も80歳を超えているので子供に相続させる前に境界線の問題を解決しておきたいとのことだった。

揉めている内容は、ご主人がお亡くなりになる前の話で、長期間海外旅行に出かけて帰ってきたらお隣が勝手にブロック塀を積まれていた。

ご主人は自分の土地の中にブロック塀を建てられた思い、お隣にブロックの撤去を求めたが隣接所有者は、ブロック塀は自分の土地に積んでいるので撤去する必要はないということだった。

そのままの状態でご主人が他界されて現在に至っているとのこと。

現在の状況は下図のようになっいる。

境界線がはっきりしていないとのことなので第一歩として「土地境界確定測量」を行うことをおすすめし、それを行うことになった

土地境界確定測量について詳しくお知りになりたい方は、「確定測量とは?なぜ必要なのかについて土地家屋調査士が徹底解説」をご参照ください。

相談者の土地を含む周りの土地には、法務局備え付けの地積測量図がないため広範囲に測量をして様々の角度から境界を検証した結果、既存ブロックの中心が境界線であると特定した。

境界線は、相談者の考えと相違する結果となったが、その旨を伝えご了承をいただいたのでお隣の所有者と境界線の確認をした。

しかし、お隣の所有者は自分の土地から見てブロックの外側が境界線であると主張され境界を確定することはできなかった。

相談者は、今後のことも考えどうしても確定させておきたいということだったので「筆界特定」をすすめ、申請することになった。

(参考)
筆界特定制度について詳しくお知りになりたい方は、「境界線トラブルもこれで解決!筆界特定とは?筆特をわかりやすく解説」をご参照ください。

地積測量図の現地復元性について詳しくお知りになりたい方は、「地積測量図の見方がわかる、作成者である土地家屋調査士が解説」をご参照ください。

地積更正登記について詳しくお知りになりたい方は、「土地地積更正登記とは?正しい面積に修正して自分の土地を守る方法!」をご参照ください。

2、【実例】筆界特定 結果

 

(結果)

隣接地所有者は、筆界特定に対しは協力的で現地の立会い等にも参加してくれご自分の意見を話してくれた。
筆界特定は、意見は聞くがその意見に左右されないで筆界を特定するため我々が測量をして特定した当初の筆界想定線で特定され、筆界特定書が通知された。

他の隣接地所有者とは筆界確認書を取り交わし、筆界確認書と今回通知された筆界特定書を持って境界確定業務は完了した。

お隣の方も筆界特定の結果を受け入れて、自分が建てたブロック塀が相談者の土地に入っていることを認めブロック塀の撤去をしてくれた。

期間:約1年
費用:220万円

時間も費用もかかったが、全ての境界が確定し、相談者の長年の心配事も解決できた。

筆界特定書に関して詳しくお知りになりたい方は、「『筆界特定書』とは?筆界の専門家である土地家屋調査士が解説します」をご参照ください。

3、まとめ

お隣の問題で悩まれている方は非常に多いと思います。

今回のように「お隣のブロックが自分の土地に建てられているのではないか?」とか「お隣の雨樋が自分の土地に入っているのではないか?」など構造物に関することで悩まれている方も多いと思います。

これらの問題を解決する第一歩として自分の土地の境界線はどこなのかをはっきりする必要があります。

境界線をはっきりさせないまま相続などが発生すると相続人が困ってしまう場合もあります。

現在は、土地を売却する場合は土地の境界が確定していることが必要という場合がほとんどです。
また、相続なので兄弟で土地を分ける場合に行う「土地分筆登記」も土地の境界が確定していることが必要となります。

今回のケースのようにお隣が納得してくれない場合などは、売却や分割ができないで相続人が困ります。

相続は、財産を引き継ぐというプラス面だけではなく、お隣との問題も引き継ぐというマイナス面もあります。

このようなことがないように生前に解決できる問題は解決した方がいいのではないでしょうか?

お隣との境界問題で悩んでいる方、「筆界特定」を利用して心配事を解決してみませんか?

この記事が、皆さんの大切な不動産を安心・安全な価値にする一助になれば幸いです。

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