あなたが一戸建ての住宅を新築したときには、建物をあなたの名義で登記するため、まず「建物表題登記」が必要となります。
実際に表題登記をするにはどういった手続きや書類が必要なのでしょうか?
専門家(土地家屋調査士)に依頼する場合は、原則 ”委任状、住民票” のみで足りるのですが、
次の3つのケースによって必要になる書類が変わってきます。
・建物が共有名義となる場合
・建物が法人名義となる場合
・建物を購入する場合
ご自身で表題登記を行う場合にはすべての書類を自分で集める必要がありますので、本記事では、必要書類について、3つのケース別で解説します。
最後まで、読み進んでいただけると、スムーズな表題登記の書類準備を行うことができます。
それでは、みていきましょう。
目次
1 表題登記の際に所有者に共通して必要になる書類
表題登記の際に所有者に共通して必要になる書類は住民票、所有権証明書、建物図面、各階平面図です。
住民票は、所有者の住所と氏名が確認できれば良いため、世帯全員でなくとも所有者のものだけで構いません。
登記に使用する情報は、住所と氏名だけですので、本籍地や続柄、マイナンバーなどの表示も省略したもので大丈夫です。
期限は、特にありませんが、虚無人の登記を防ぐという趣旨がありますので、できる限り新しいもの(3か月以内)が望ましいでしょう。
また、専門家(土地家屋調査士)へ依頼をする場合は、必ず委任状が必要になります。
所有権証明書として一番多く一般的な新築物件での書類は
・確認済証 ⇒ 建築確認申請時の書類一式、図面なども含む
・工事完了引渡証明書
・工事人の印鑑証明書(コピー、印影確認で使用)
*工事人が個人の場合、印鑑証明書は原本
・工事会社の会社法人等番号
会社法人等番号若しくは法人の履歴事項全部証明書(会社謄本)若しくは代表者事項証明書が必要になります。
法人の履歴事項全部証明書(会社謄本)若しくは代表者事項証明書は不動産の管轄と本店所在地の管轄が同一の場合は原則省略ができます。
(会社法人等番号)
ここで提供する会社法人等番号は、法務局へ登記された番号です。
国税庁で税金や社会保険などで使用する法人番号ではありませんので注意してください。
法務局のWEBサイト:Q3 会社法人等番号と法人番号とは,どう違うのですか。
(法務局の窓口で取得した履歴事項全部証明書)
(建物図面、各階平面図)
CADソフトなどで作成します。
建物図面と各階平面図は線の太さから用紙のサイズ、記載事項まで全て法令で定められています。
一般の方がこの図面を作成するのは時間と手間暇がかなりかかることになります。
図面の作り方などは、下記の記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。
『表題登記は自分で申請できます!土地家屋調査士に依頼するメリットは』
次にケース別の追加書類を見ていきましょう。
2 表題登記の3つのケース別での追加書類
表題登記では、3つのケース毎にそれぞれ、後述する追加書類が必要となります。
順番に説明をしていきます。
2-1 建物が共有名義となる場合の追加書類
建物が共有名義となる場合ですが、共有持分証明書が必要になります。
タイトルとしては、特に規定はありません。
・共有持分証明書
・共有持分協議書
・共有持分証書
・上申書(持分協議書)
など、共有持分が示してあり、共有者同士で定めた持分を法務局へ証明(自己申告の性質)する書類となります。
証明書として機能させるため、持分割合を協議したことの証明のために、共有者は持分証明書へ実印を押印し印鑑証明書を添付して、登記申請します。
(実際の共有持分証明書)
コラム:持分割合はどのようにして定めるの?
持分割合はどうしたら良いのか、良く質問のあるところですが、土地家屋調査士としては、専門外となりますが、税務上の問題も絡みます。一般的な回答としては建物代金の出資割合となるでしょう。建物代金の出資割合から差が出ると、その分については贈与となる可能性がありますので、ご注意ください。税務面につきましては、税理士若しくは課税当局へご相談ください。
2-2 建物が法人名義となる場合の追加書類
建物が法人名義となる場合ですが、会社法人等番号若しくは法人の履歴事項全部証明書(会社謄本)若しくは代表者事項証明書が必要になります。
法人の履歴事項全部証明書(会社謄本)若しくは代表者事項証明書は不動産の管轄と本店所在地の管轄が同一の場合は原則省略ができます。
1章で解説した、所有権証明書としての会社法人等番号は、工事会社のものでした。
今回の会社法人等番号については、建物所有者としての会社法人等番号になりますので区別してください。
2-3 建物を売主から購入する場合の追加書類
建物を売主から購入する場合ですが、売買契約書のコピー、建物売渡証明書、売主が法人の場合は売主の会社法人等番号若しくは法人の履歴事項全部証明書(会社謄本)若しくは代表者事項証明書が必要になります。
法人の履歴事項全部証明書(会社謄本)若しくは代表者事項証明書は不動産の管轄と本店所在地の管轄が同一の場合は原則省略ができます。
いわゆる、建売住宅を購入する場合がこのパターンに当てはまります。
建売住宅の場合の流れは下記のようになります。
なお、建物売渡証明書のタイトルとしては、特に規定はありません。
・建物売渡証明書
・譲渡証明書
など、所有権が A⇒B へ移転したことが分かる書類となっていれば大丈夫です。
コラム:登記実務の流れ
登記実務では、残金決済日よりも前に表題登記を完了させておかないと、決済当日に所有権保存登記と抵当権設定登記が申請できません。これにより、建物が完全に完成する前に、最終決済期限より前に建物表題登記を終わらせておくということが多いです。不動産取引を円滑にするため、売主、買主、工事施工業者などが登記必要書類を融通しあって行っているようですね。
表題登記のタイミングについては、下記の記事も参考にしてみてください。
『新築一戸建の建物表題登記の申請できるタイミングについてまとめ』
3 表題登記の必要書類の収集から、登記申請まで専門家へ依頼することも可能
表題登記の必要書類の収集から、登記申請まで専門家へ依頼することも可能です。
ここまで表題登記を申請する際の必要書類を解説して参りましたが、これらの書類をすべて自身で収集し、自身で作成することは大変面倒な作業です。
これらの作業をすべて、専門家である土地家屋調査士に依頼することもできますので、ご紹介します。
土地家屋調査士に依頼する場合には、委任状、住民票、印鑑証明書については取得していただき、その他は、すべて土地家屋調査士が代理で作成し関係者とやり取りして登記申請に必要となる書類を揃えます。
法務局へ出向く必要もないです。
また、関係者から書類を取り寄せる際も関係者も通常は土地家屋調査士に任せていることが多いため、スムーズに書類のやり取りができない場合もあるでしょう。
専門家へ依頼するとなると費用はどのくらいかかるのか気になると思います。
通常の木造2階建、延床面積が100㎡前後のもので約10万円(+税)程度が報酬相場になります。
表題登記の費用については、下記の記事に詳しく掲載してありますので参考にしてみてください。
『建物表題登記の費用はどれくらいかかるの?専門家への依頼でお得に』
自身で作業する手間や交通費等、そして何より貴重な時間とを比較して、表題登記を専門家に依頼されることも検討してみてください。
4 土地家屋調査士法人えんでは、1棟1棟を丁寧に表題登記申請します。
土地家屋調査士法人えんでは建物表題登記を数多く取り扱っている土地家屋調査士事務所です。
1棟1棟を丁寧に表題登記申請するように心がけており、年間の建物表題登記の登記申請件数は200件以上という実績があります。
そしてご依頼をいただく件数はおかげ様で年々増加しています。
建物表題登記に欠かせない、売買契約書をはじめとする各種書類の取扱いや関係者とのやり取り、連絡・報告・相談など、その後の決済、所有権保存登記なども見越して業務を行います。
これまで培ってきたノウハウやスキルがありますので、「建物表題登記」分野に関しましては高い実務遂行能力があります。
皆様の貴重な不動産が安心安全な不動産として登記されるよう、スタッフ一同日々研鑽を重ねています。
建物表題登記に関して何か少しでもご不安な点がある方は、ぜひ一度ご相談ください。